著者
鬼塚 克忠 陳 佩杭 TONG Peihua 根上 武仁 早川 慶
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.287-295, 2008-01-09 (Released:2008-01-09)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

佐賀県の吉野ヶ里墳丘墓は「版築状」に構築されており,この構築技術は古代中国から伝わったと考えられる。著者らは黄河流域における二千年前に構築された十数箇所の盛土遺跡を訪ね,その構築技術の特徴と地盤工学的特性を調査した。山東省・龍山文化時期の城子崖遺跡の城壁は厳密な意味での「版築」で構築された盛土遺跡の一例である。城子崖遺跡の調査結果から,「版築技術」は黄土をかなり高い密度に突固めることが可能であり,水に弱い黄土の欠点を補えることが分かった。黄河流域における版築盛土構造技術の出現は黄土の特異な地盤工学特性に大きく関係していると考えられる。
著者
荒牧 憲隆 山本 健太郎 平 瑞樹 林 泰弘 根上 武仁
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.9, no.3, pp.309-322, 2014 (Released:2014-09-30)
参考文献数
28

宮崎県と鹿児島県の県境,霧島山中央部に位置する新燃岳において,2011年1月19日から始まった52年ぶりの噴火は,新燃岳火口から南東方向に大量の火山灰を降らせた。発生した火山灰の量は,4,000万~8,000万tと推定されており,宮崎県南部周辺の広範囲で降灰が確認されている。この突発的な火山災害により,斜面等に降り積もった火山灰堆積地盤での降雨や火山性地震による安定問題や処分された火山灰のリサイクル方法が重要な課題となってくる。本研究は,上記のことを鑑み,新燃岳より噴出した火山灰を用いて,新燃岳火山灰質土の物理・力学性質を実験的に検討し明らかにすることを目的としている。その結果として,噴火直後の火山灰質土の物理・力学特性は,砂質土と概ね類似した傾向を示し,リサイクル材として有用な材料であることが示された。しかし,火山灰質土特有の性質も包含しており,凍結融解の繰返しにより火山灰質土が細粒化していくことが認められ,物理的な風化の影響により材料特性が経時的に変化していくことが予想される結果となった。