著者
鬼塚 克忠 原 裕
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学) (ISSN:21856516)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.621-632, 2012 (Released:2012-10-19)
参考文献数
39
被引用文献数
1 2

吉野ヶ里遺跡の墳丘墓(B. C. 150年頃)は主に層築で構築された我が国最古の巨大盛土構築物である.盛土の構築技術は,レベルの低いものから,堆築,層築,版築の3段階に分類できることを示し,吉野ヶ里墳丘墓の構築技術のルーツであると考えられる中国江南地方の土□墓(西周~戦国時代),と山東半島の墳墓(前漢~後漢時代)と吉野ヶ里墳丘墓の埋葬物の墳墓内の位置など様々な実態の比較,ならびに上記3段階の構築技術のこれら墳墓への適用についての検討を行った.墳丘墓以外の文化・技術のルーツや伝播も考えた結果,江南の土□墓もしくは山東半島の墳墓の構築技術が,朝鮮半島経由ではなく海を経て直接,北部九州の吉野ヶ里に伝播したことを結論とした.
著者
鬼塚 克忠 陳 佩杭 TONG Peihua 根上 武仁 早川 慶
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.287-295, 2008-01-09 (Released:2008-01-09)
参考文献数
13
被引用文献数
3 1

佐賀県の吉野ヶ里墳丘墓は「版築状」に構築されており,この構築技術は古代中国から伝わったと考えられる。著者らは黄河流域における二千年前に構築された十数箇所の盛土遺跡を訪ね,その構築技術の特徴と地盤工学的特性を調査した。山東省・龍山文化時期の城子崖遺跡の城壁は厳密な意味での「版築」で構築された盛土遺跡の一例である。城子崖遺跡の調査結果から,「版築技術」は黄土をかなり高い密度に突固めることが可能であり,水に弱い黄土の欠点を補えることが分かった。黄河流域における版築盛土構造技術の出現は黄土の特異な地盤工学特性に大きく関係していると考えられる。
著者
鬼塚 克忠 陸 江 唐 暁武 甲斐 大祐
出版者
社団法人地盤工学会
雑誌
土と基礎 = Soil mechanics and foundation engineering (ISSN:00413798)
巻号頁・発行日
vol.50, no.5, pp.26-28, 2002-05-01
参考文献数
6
被引用文献数
4

Han-Chiku technique, which can be regarded as a kind of compaction method in geotechnical sense, was a quite practical and effective construction means in ancient China. It was widely used in various earth works and foundations, such as city wall, dam and tomb et al. In historical remains of China, large quantities of applied instances of this means can be found. During the period from 2000 to 2001,geotechnical investigations, including in situ tests and laboratory tests, on some historical remains in China were carried out. In this paper on the basis of these test results and some literature concerning Han-Chiku, the development, soil materials and implement of Han-Chiku technique are discussed from geotechnical engineering point of view.
著者
鬼塚 克忠 原 裕
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集C(地圏工学)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.621-632, 2012
被引用文献数
2

吉野ヶ里遺跡の墳丘墓(B. C. 150年頃)は主に層築で構築された我が国最古の巨大盛土構築物である.盛土の構築技術は,レベルの低いものから,堆築,層築,版築の3段階に分類できることを示し,吉野ヶ里墳丘墓の構築技術のルーツであると考えられる中国江南地方の土□墓(西周~戦国時代),と山東半島の墳墓(前漢~後漢時代)と吉野ヶ里墳丘墓の埋葬物の墳墓内の位置など様々な実態の比較,ならびに上記3段階の構築技術のこれら墳墓への適用についての検討を行った.墳丘墓以外の文化・技術のルーツや伝播も考えた結果,江南の土□墓もしくは山東半島の墳墓の構築技術が,朝鮮半島経由ではなく海を経て直接,北部九州の吉野ヶ里に伝播したことを結論とした.
著者
内田 一郎 鬼塚 克忠 平田 登基男
出版者
公益社団法人地盤工学会
雑誌
土質工学会論文報告集 (ISSN:03851621)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, 1977-03-15

マサ土地帯は山くずれ, 盛土ノリ面の侵食, 崩壊などが数多く発生し, 宅地造成や切土, 盛土斜面の形成工事において人身事故につながる危険性が大きく防災上からこの方面に関する研究の必要が高まっている。本文は, マサ土による盛土斜面の破壊機構を明らかにする目的でマサ土の物理的特性と共に, 圧縮沈下特性, 圧縮強度特性, セン断特性(間ゲキ圧・ダイレイタンシー・強度定数c, φ)を調べる基礎的実験と関連させて, 盛土斜面の模型実験から上部載荷, 繰返し荷重, 水の浸水による盛土斜面の崩壊機構について検討している。その結果, マサ土においても, 締固め密度が小さく含水比が大きくなると荷重による沈下量, 間ゲキ圧が増大し, 強度, 強度定数c, φダイレイタンシー指数が減少することを示し, さらに, ノリ肩近傍に載荷した場合の支持力算定式については, スベリ線の発生順序を考慮に入れるべきことを指摘し, マイヤーホッフの提案した支持力式の適用限界について論述している。