著者
ボイクマン 総子 根本 愛子 松下 達彦
出版者
日本語教育方法研究会
雑誌
日本語教育方法研究会誌 (ISSN:18813968)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.2-3, 2019 (Released:2019-07-02)
参考文献数
5

A placement test (PT) should be administered to many test-takers simultaneously, simply, and in a short period of time. Additionally, its results should have high reliability. However, conventional speaking tests do not satisfy these conditions. To address this, we have developed STAR, Speaking Test of Active Reaction, along with two evaluation tools: a rubric and audio samples. Using these, five evaluators graded the performance of 32 test-takers. We found a high intraclass correlation coefficient and that the raters gave results consistent with one another. Time spent on evaluation was short— fewer than two minutes per test-taker. Therefore, we conclude that as a speaking test for PT, STAR has the necessary qualities of reliability, validity, and usefulness.
著者
ボイクマン 総子 根本 愛子 松下 達彦
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.175, pp.146-154, 2020-04-25 (Released:2022-04-26)
参考文献数
12
被引用文献数
1

プレースメント用のスピーキングテストは,大勢が短時間で受験でき,判定が簡便で,信頼性や妥当性の高いテストが理想である。そこで,筆者らはテストタスクと,ルーブリックと音声サンプルによる判定ツールの開発に着手した。テストの信頼性や妥当性を検証するため,開発した判定ツールを用いて初級から上級の受験者32名の「断り」のタスク結果を日本語教師4名に判定してもらう実験を行った。判定結果は,プレースメント時の読解などの受容能力より産出能力を示す作文と,リスニング要素を含むSPOTとの相関が高かったことから基準関連妥当性を一定程度満たしていると言える。判定者間の一貫性や相関も高く,受験者1名あたりの判定時間が1~2分であったことからも,本タスクと判定ツールは,簡便で一定の信頼性も確保できていると言える。ただし,中級の判定は初級や上級より難しいことがうかがわれた。
著者
根本 愛子 ボイクマン 総子 松下 達彦
出版者
公益社団法人 日本語教育学会
雑誌
日本語教育 (ISSN:03894037)
巻号頁・発行日
vol.177, pp.1-16, 2020-12-25 (Released:2022-12-26)
参考文献数
19

本研究では,ボイクマンほか (2020) で開発されたプレースメントテストのための日本語スピーキングテストSTAR (Speaking Test of Active Reaction) の検証のため,非日本語教師30名による状況対応タスクのレベル判定実験を行った。その判定結果の分析から,STARは中級レベルの弁別力が不足している可能性があるものの,プレースメントテストとしての有用性 (信頼性,構成概念妥当性,実用性) は高いといえることがわかった。また,判定時のコメントを分析したところ,日本語の自然さ・流暢さは上級の特徴となること,レベル判定の観点は内容・テキストの型・対人配慮では中級前期と中級中期,文法は中級中期と中級後期を境にそれぞれ異なることがわかった。さらに,中級前期は初級レベルと比較され肯定的なコメントが多い一方,中級中期は上級レベルと比較され否定的なコメントが多くなっていることも明らかになった。