著者
古旗 崚一 所 史隆 根本 隆夫 加納 光樹
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
pp.21-00010, (Released:2021-10-26)
参考文献数
31

チャネルキャットフィッシュによる張網漁獲物の捕食実態を把握するため,2016年6-8月と2017年3-8月に霞ヶ浦で張網により採集した個体の食性を精査した。本種は張網に同時に入網するワカサギ,シラウオ,ウキゴリ,テナガエビを主に食べていた。体長20 cm以上の個体は自然環境下と比べて胃充満度指数が極端に高く,張網内でそれらを摂餌したと考えられた。張網内での漁獲物の被食率はワカサギで74%,シラウオで80%,ウキゴリとテナガエビで30%以上と推定され,張網漁業への甚大な影響が懸念された。
著者
渡邊 美如々 木村 将士 碓井 星二 根本 隆夫 外山 太一郎 宮崎 淳一 加納 光樹
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.AA2022-16, 2022-08-23 (Released:2022-08-23)

The fish fauna in the middle and lower reaches of Sakura River flowing into Lake Kasumigaura was investigated with casting nets, hand nets and scoop nets in May, July, and October 2020 and from April to October 2021, and compared with data from previous studies conducted in 1984–1987, 1996–2002 and 2010–2015. A total of 36 fish species in 11 families, including 20 introduced exotic and Japanese species and 16 native species, were collected in 2020–2021. The analyses of long-term changes in presence/absence of fish species from the 1980s to the 2020s demonstrated the disappearance of four threatened species (three native bitterling species and the crucian carp Carassius buergeri subsp. 2) by various artificial environmental changes and a gradual increase in introduced exotic and Japanese species spreading mainly from Lake Kasumigaura.
著者
古旗 崚一 所 史隆 根本 隆夫 加納 光樹
出版者
アクオス研究所
雑誌
水生動物 (ISSN:24348643)
巻号頁・発行日
vol.2023, pp.AA2023-19, 2023-09-03 (Released:2023-09-03)

わが国の内水面漁業では大型定置網(張網)の内部での外来種チャネルキャットフィッシュによる小型魚類・エビ類の食害は深刻な問題として認識されている。張網への本種の侵入を防止するグリッドの取り付けが魚類・エビ類に及ぼす影響を把握するため、2015年10月から2017年9月にかけて霞ヶ浦(西浦)の沿岸帯の張網内においてグリッド有りと無しの袋網を用いた採集調査を実施した。調査期間中に採集されたチャネルキャットフィッシュは計926個体(体長3.8–69.0 cm)であった。本種の体長10 cm未満の個体はグリッド有りと無しの両方で多く、また、体長20 cmよりも大きな個体はグリッド無しのみで多く採集された。水産有用種を含む多くの小型魚類やエビ類はグリッド無しよりも有りで多く採集されたが、ギンブナなどの大型魚類を含む一部の水産有用種はグリッド無しの方が多く採集された。したがって、本研究のグリッドはチャネルキャットフィッシュの大型個体の侵入防止には有効であるものの、漁獲対象となる他魚種の大きさに応じて使い分けることが望まれる。
著者
根本 隆夫 河崎 正 位田 俊臣
出版者
茨城県内水面水産試験場
雑誌
茨城県内水面水産試験場調査研究報告 (ISSN:03878988)
巻号頁・発行日
no.38, pp.19-23, 2003-03

(1)試験用人工河川において,ワカサギの産卵時期と産卵のための遡上時間の経時変化を調べるために試験を行った。(2)1996年のワカサギ親魚の遡上時期は前年よりやや遅く,2月下旬から3月下旬に観察され,3月上旬がピークであった。(3)ワカサギ親魚の遡上時間は,おおよそ16時から6時までであり,特に19時から21時に多く,20時がピークであった。(4)雌雄別では,雄が早めに遡上し,19時以降急増して22時には減少に転ずるが,雌は急な増減はなく19時から5時の間に少しずつ遡上することが分かった。(5)遡上数の日変化と経時変化調査の差から,雄親魚は一度遡上しても,また後日再遡上することが推察された。