著者
大野 健次 高畠 一郎 桐山 正人 上野 敏男 竹田 康男 羽柴 厚 小山 信
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.613-617, 2011 (Released:2011-10-15)
参考文献数
6
被引用文献数
1

胃内視鏡多施設検診における至適生検率について検討を行なった。至適生検率とは見逃しが少なく(=癌発見率が高い), 最も効率がよい(=陽性反応適中度が高い)生検率と定義した。対象は08年, 09年に金沢市内視鏡検診を受けた17,280名で各医療機関の生検率を, 5%毎5群に分けて, 胃癌発見率と陽性反応適中度(以下PPV)について検討した。胃癌発見率とPPVは各々生検率5%未満で0.23%, 9.18%, 5~10%未満0.36%, 5.16%, 10~15%未満0.58%, 4.92%, 15~20%未満0.32%, 2.00%, 20%以上で0.59%, 2.21%であった。生検率が高いとPPVは低くなる傾向があるががん発見率は高くなる傾向が見られた。今回の検討では10%~15%未満から生検率を上げていっても癌発見率が上がることがなく, その中で最も陽性反応適中度が高いのは10~15%未満であり至適生検率は10~15%未満と考えられた。
著者
奥村 昌央 森井 章裕 桐山 正人
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.110, no.2, pp.138-143, 2019-04-20 (Released:2020-04-20)
参考文献数
10

腹腔鏡下子宮全摘出術による医原性尿管損傷の3例を経験したので報告する.症例1は50歳女性で近医にて腹腔鏡下子宮全摘出術を施行され術後採血で腎機能低下と腹部エコーにて左水腎症を認めたため翌日,当科へ紹介された.CTで左水腎症を認めRPでは左尿管口から2cmの部位で尿管カテーテルの挿入が困難であり,産婦人科手術の2日後に開腹手術とした.左尿管下端部で尿管が結紮されており挫滅した部分を切除し尿管端々吻合術を施行した.症例2は38歳女性で近医にて腹腔鏡下子宮全摘出術を施行され,術後に腹部膨満感と下痢が生じた.術後9日目の採血で腎機能の低下と腹部エコーで左水腎症を認め,翌日当科へ紹介された.CTで左水腎症と腹水を認め,RPでは造影剤の尿管外への溢流を認めた.左尿管損傷による腹腔内尿溢流と診断し開腹し左尿管膀胱新吻合術を行った.症例3は45歳女性で近医にて腹腔鏡下子宮全摘出術を施行され,術後採血で腎機能低下と腹部エコーにて左水腎症を認め術後5日目に当科へ紹介された.CTで左水腎症と左尿管下部での尿管閉塞を認め,腹腔鏡と膀胱鏡,X線透視を併用し,同日手術を行った.腹腔鏡で腹腔内を観察すると左尿管下部が結紮糸により引きつれ屈曲しており,腹腔鏡下で結紮糸を切断すると尿管の屈曲が解除され尿管ステントが留置できた.1カ月後,尿管ステントを抜去し左水腎症は改善した.
著者
岩田 啓子 杉本 優弥 東 勇気 月岡 雄治 桐山 正人
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.114, no.8, pp.1454-1459, 2017-08-05 (Released:2017-08-05)
参考文献数
17

症例は21歳男性.新生児期に食道閉鎖症と診断され,開腹手術下に胃瘻を造設された.経口による栄養摂取が可能となった生後7カ月に胃瘻カテーテルを抜去され自然閉鎖したが,21歳時に瘻孔閉鎖部位が再開通し唇状瘻を形成した.唇状瘻からの胃内容物の流出が多く,受診時には瘻孔周囲に皮膚びらんを形成していた.確実で再燃のない治療方法として開腹手術による瘻孔切除術を選択し施行した.術後は問題なく学生生活を送っている.