著者
桑田 修平 上田 修功
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.48, no.15, pp.153-162, 2007-10-15
参考文献数
20

確率モデルに基づく新たな協調フィルタリング手法を提案する.提案法は,評点済みのデータから算出されるユーザごとの評点分布,アイテムごとの評点分布,および全評点に対する評点分布が,予測対象の未評点データに対して同様に算出されるそれぞれの評点分布と類似しているとの仮定に基づき,評点済みのデータに対する各評点分布と未評点データに対する各評点分布との間の KL ダイバージェンスを最小化することにより予測値を求める.評点予測を個別に独立で行う従来法と異なり,提案法は予測対象の評点に対する予測値を互いに依存させ,予測対象の評点を一括して予測できるという特長を持つ.映画に対する評価データを用いた実験の結果,予測精度は従来の代表的手法とほぼ同程度であるが,計算時間の面で顕著な優位性を確認した.We propose a new collaborative filtering method based on a probabilistic approach. In the proposed method, we assume that the empirical marginal distributions of the ratings over users and/or items are similar to these corresponding distributions of unrated data. Based on this assumption, we try to predict unobserved ratings by minimizing the Kullback-Leibler divergence between both the rated and unrated rating distributions. In contrast to the conventional methods, which predict unobserved ratings individually and independently, our method predicts all unobserved ratings simultaneously and with mutual dependence. We evaluate the prediction performance and the computational time of our method by using real movie rating data, and confirmed that the proposed method could provide prediction errors comparable to those provided by the conventional top-level methods, but could significantly reduce the computational time.
著者
桑田 修平 上田 修功 山田 武士
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.115, pp.81-86, 2007-06-21
被引用文献数
3

本稿では,ノンパラメトリックベイズモデルに基づくグラフクラスタリング手法を提案する.近年Newmanらは,混合多項分布モデルに基づき,リンク先が類似するノードを同一クラスに分類する,という一般的な仮定のみを用いた,クラスタ構造に関する事前情報を必要としない,汎用的かつ効率的なクラスタリング手法を提案した.しかし,予めクラス数を与える必要があるという問題があった.提案手法は,Newmanらのモデルを発展させ,ノンパラメトリックベイズの枠組でクラスの生成過程をデータの生成過程に含めることにより,クラス数を動的に推定しながらより柔軟なクラスタリングを行うことができる.人工データと実データを用いた実験により提案法の有効性を示す.
著者
桑田 修平 前田 康成 松嶋 敏泰 平澤 茂一
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.20-30, 2013-03-12

推薦問題を扱うためのより一般化されたマルコフ決定過程モデルに対して,ベイズ基準のもとで最適な推薦ルールを履歴データから求める方法を提案する.推薦問題に関する研究において,これまで,ある商品を推薦した結果どの商品が買われたのか(推薦結果)や,さらには,一定期間内に行った複数の推薦結果が考慮されることはほとんどなかった.これに対して,マルコフ決定過程モデルを用いることで上記2点を初めて考慮した手法が提案されている.提案法は,その従来研究のモデルを一般化した点に新規性がある.また,もう1つの新規性として,推薦ルールを求めるためのプロセスを統計的決定問題として厳密に定式化した点がある.従来のモデルを一般化することで,マルコフ決定過程モデルを用いた推薦手法の適用領域が拡大され,かつ,推薦する目的に対して最適な推薦が行えるようになった.人工データを用いた評価実験により,提案する推薦手法の有効性を確認した.
著者
桑田 修平 前田 康成 松嶋 敏泰 平澤 茂一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-6, 2012-05-10

推薦問題を扱うためのより一般化されたマルコフ決定過程モデルに対して,ベイズ基準のもとで最適な推薦ルールを履歴データから求める方法を提案する.提案法の特徴は,ある商品を推薦した後に何が買われたのかを考慮していること,さらに,一回の推薦結果だけでなく一定期間内に行った複数の推薦結果を評価している点にある.ここで,従来の推薦手法と大きく異なる点は,推薦ルールを求めるためのプロセスを統計的決定問題として厳密に定式化したことにある.その結果,推薦する目的に対して最適な推薦が行えるようになった.人工データを用いた評価実験により,提案する推薦手法の有効性を示す.In this paper, we proposed a general markov decision process model for the recommendation system. Furthermore, based on the bayesian decision theory, we derived the optimal recommendation lists from the proposed model using historical data. Our method takes into account not only the purchased items but also the past recommended items within a given period. Here, the unique thing about this paper is that we formulate the process to get the recommendation lists as the statistical decision problem. As a result, we can obtain the most suitable recommendation lists with respect to the purpose of the recommendation. We show the experimental results by using artificial data that our method can obtain more rewards than the conventional method gets.