著者
中山 絵美子 高橋 聡明 北村 言 野口 博史 仲上 豪二朗 桑田 美代子 四垂 美保 真田 弘美
出版者
看護理工学会
雑誌
看護理工学会誌 (ISSN:21884323)
巻号頁・発行日
vol.7, pp.116-129, 2020 (Released:2020-07-31)
参考文献数
25

本研究は,介護保険病床を有する病院に入院している認知症高齢者を対象に,1.患者とコミュニケーションロボット(以下ロボット)との関係構築にかかわる要因,2.ロボットの継続的な使用にかかわる要因,3.ロボットへの期待を明らかにすることを目的とし,ロボット事業が継続している介護保険病床を有する病院において,6名の病棟スタッフへの半構造化面接の記録を質的に分析した.その結果,関係構築にかかわる要因として{患者のもつさまざまな特性や変化する患者・療養環境とロボットのマッチング}が,継続使用にかかわる要因として{スタッフがやりがいを感じながら,新しい試みであるロボットの導入・活用と向き合うこと}が,ロボットへの期待として{ロボットが患者・スタッフとともに過ごすことができる存在となる}ことがテーマとして抽出された.これらから,ロボット導入時には患者-ロボット間,継続使用の際にはスタッフ-ロボット間の関係構築が重要であると示唆された.
著者
湯浅 美千代 野口 美和子 桑田 美代子 鈴木 智子
出版者
千葉大学
雑誌
千葉大学看護学部紀要 (ISSN:03877272)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.9-16, 2003-03
被引用文献数
2

本研究の目的は,痴呆症状を有する患者が本来持っている能力を見出す方法を,実践者の経験から明らかにすることである.研究方法は,ある老人病院において痴呆患者のケアを提供している実践者5名(看護師3名を含む)へのインタビューであり,その内容を質的に分析した.その結果,以下の知見が得られた.1.ケアによって,痴呆患者が本来持っている能力の発揮を妨げる場合がある.2.痴呆患者が本来持っている能力を見出す方法として,『見方を変えること』『患者が安心できること』『患者の内面を理解し,その気持ちや思いに気づくこと』『患者のもつ可能性を探ること』があげられ,またその具体的な方法が得られた.3.痴呆患者が本来持っている能力を見出すために基盤となるケア姿勢が必要である.