著者
桶田 洋明
出版者
公益社団法人 日本油化学会
雑誌
オレオサイエンス (ISSN:13458949)
巻号頁・発行日
vol.19, no.9, pp.379-385, 2019 (Released:2019-09-25)
参考文献数
7

油彩画における表現技法は,油絵具の性質との関わりが深く,特に媒材である乾性油,揮発性油等の特徴を生かしたものが多い。それらはテンペラ絵具やアクリル絵具には見られない,透明度の高さと可塑性の高さによる技法であり,それぞれ「透層技法」と「アラプリマ」が該当する。今後も油彩画は,油絵具と他の描画材との混合などにより,独創的な表現が可能となることで,さらなる発展が期待できる。
著者
桶田 洋明
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 教育科学編 = Bulletin of the Faculty of Education, Kagoshima University. Studies in education (ISSN:09136606)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.33-45, 2018-03-29

現代の絵画表現において用いられる絵具は多岐に渡っているが、美術専修学生であってもそれらの正確な理解度は高くない。絵具の違いは展色剤の差から成るため、まずは絵具における展色剤について油絵具・アクリル絵具・テンペラ絵具の3種を中心に、試作を踏まえて検証し、各絵具の特徴および技法について考察した。 その結果、油絵具では展色剤である乾性油と希釈剤である揮発性油の違いを理解することで、的確な油の選定が可能となった。アクリル絵具はアクリルガッシュとの相違点や展色剤であるアクリル合成樹脂の理解を深めるとともに、添加剤の種類やその特徴について確認した。テンペラ絵具は全卵と油との混合による展色剤の作成方法や、半水性である成分の特徴を生かした技法の把握、油絵具との互層による混合技法の特徴について確認できた。 これらの実制作により、個々の絵画表現意図に応じた絵具・技法の選定が可能となり、表現レベルの向上に繋げることができた。また各絵具の知識を習得することで、他者への指導の際の一助となり、さらには将来において美術教員・専門家として就いた際に、正確で的確な指導の実現が期待できる。
著者
桶田 洋明
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学教育学部研究紀要. 人文・社会科学編 (ISSN:03896684)
巻号頁・発行日
vol.56, pp.89-102, 2005-03-25

アクリル絵の具を用いて写実的絵画を制作するための描画法を,代表的な作家の描画法から検証し,より客観的,概念的な描画法を導き出したうえで,それらの技法を自身の試作によって実証していく。本研究により,特にアクリル絵の具による,写実的な再現描写による作品の描画法を理解することで,本来アクリル画が苦手と見られていたタイプの絵を制作する時の手助けとなることができる。