著者
梅山 伸二
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

(1)計算機制御可能な回転偏光フィルタと高精度デジタルビデオカメラを組み合わせた観測システムの試作を行い、これを用いて、物体の見えからの拡散/鏡面成分の分離実験を行った。その結果、2成分の分離が良好に行われることを確認し、これを画像の認識・理解シンポジウム(MIRU2002)において発表した。この実験においては、問題モデルの特殊性や、分離すべき成分が2個しかないという性質を利用して、分離アルゴリズムを作成した。作成したアルゴリズムは、2成分間の相互情報量を直接評価するものであり、一種の全探索アルゴリズムとなっているため、パラメータの設定等が容易であり、また安定なアルゴリズムとなっている。(2)独立成分分析を利用した物体の表面反射からの拡散/鏡面反射成分の分離手法を、対象物や照明源が移動する場合にも適用可能とするため、ハーフミラープリズムを利用した2画面同時観測システムの試作を行った。入力光はプリズムで2本に分離され、それぞれ相異なる偏光方向を持つ偏光フィルタを装着したデジタルカメラで観測される。このことにより、拡散/鏡面反射の成分比の異なる2枚の観測画像の同時観測が可能となった。このシステムにより、画像の取得だけであれば16枚/秒程度の観測が可能となり、拡散/鏡面反射の1準)実時間分離システムの可能性が開かれた。この成果は、第9回画像センシングシンポジウムおいて発表を行った。(3)手法全体のまとめを、IEEE Trans.on PAMI誌に投稿し、再録が決定した。
著者
藤木 蔵田 武志 梅山 伸二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
信学会総合大会, 1997
巻号頁・発行日
1997
被引用文献数
1

正射影画像による物体の形状復元には, 同一平面上にない4点の本質的に異なる3枚の画像が必要であるが, 復元物体のAffine座標は本質的に異なる2枚の画像で一意に決定される。本稿ではこの座標系の基底のもつ自由度と正射影の方向の自由度を因子分解法を用いて明らかにする。
著者
栗田 多喜夫 麻生 英樹 梅山 伸二 赤穂 昭太郎 細美 章隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.2, pp.257-266, 1996-02-25
被引用文献数
9

本論文では, 多層パーセプトロンの中間層の各ユニットに独立なノイズを加えたとき, 学習結果がどんな影響を受けるかについて考察し, ノイズを付加することによりネットワークが構造化されることを示す. 具体的には, 中間層が1層のみで, 出力層の入出力関数が線形のネットワークの中間層の各ユニットに独立なノイズを加えた場合の誤差逆伝搬学習アルゴリズムの平均的な振舞いを解析し, 中間層から出力層への結合荷重はより小さな値をとるようになり, 逆に, 入力層から出力層への結合荷重は中間層の出力が0か1に近づくようになることを示す. これは, 中間層の各ユニットにノイズを付加することにより, ネットワークが自動的に構造化されることを意味している. その結果として間接的に汎化能力の高いネットワークが構成されることが期待でき, 学習におけるノイズの役割として非常に興味深い. 更に, パターン識別問題と論理関数の学習問題に対して, ノイズを加えて学習した場合とノイズを加えないで学習した場合を比較し, ノイズを加えることによりネットワークが構造化されることを実験的に確かめた.