著者
高橋 幾 小野島 昂洋 梅永 雄二
出版者
NPO法人 日本自閉症スペクトラム支援協会 日本自閉症スペクトラム学会
雑誌
自閉症スペクトラム研究 (ISSN:13475932)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.41-49, 2021-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
12

移動スキルは発達障害者の充実した地域生活にとって重要であり、運転免許取得は公共の交通機関が整っていない地域においては活動範囲の拡大につながる。しかし、日本では発達障害者の運転免許取得に関する研究は少なく、その実態は未だ明らかでない。そこで、本研究は発達障害者が運転免許取得の際に抱える困難と必要とされる支援を探索的に検討することを目的に、発達障害に特化したコースを設置しているA自動車教習所の教習データの分析、および同コースの指導員への聞き取り調査を行った。教習データの分析から発達障害者は(1)技能教習・卒業検定では、定型発達者より多くの時間を要する人の比率が高いこと、(2)技能教習では、不器用さや般化の困難などの発達性協調運動症(以下DCD)の特性との関連が指摘された。また、聞き取り調査からは、(3)指導員が技能教習で問題と感じていることは、視野・操作・般化の3つの「運転技能」の領域および「指示理解」「運転への不安」であったこと(4)支援の工夫では、運転技能への課題と併せて「指示方法の変更」「情報収集・連携」「心理面への配慮」の対応がとられていること(5)定型発達群も技能教習で問題となるところは発達障害群と変わらないことなどが明らかとなった。これらの結果に基づき発達障害者の運転免許取得において求められる支援を議論した。
著者
梅永 雄二
出版者
日本職業リハビリテーション学会
雑誌
職業リハビリテーション (ISSN:09150870)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.41-48, 1995-03-31 (Released:2011-03-23)
参考文献数
9

表出言語が困難な場面 (選択性) 緘黙症者に対し, 職域開発援助事業を通してハンバーガーショップM社において職業指導を行った。場面緘黙症者はコミュニケーションに障害があるため, 作業指示に対する反応として身ぶりサインによる指導を行った。また, 作業理解のために, 作業工程を課題分析し, その課題分析に視覚的JIG (補助具) を利用した。その結果, ハンバーガー等の注文に対する受け答えに対しては, 身ぶりサインによりコミュニケーションがとれるようになり, 作業工程も問題なく理解できるようになった。このように, 事業所環境を本人のわかりやすいように「構造化」することによって, 作業が遂行できるようになることが明らかになったことは, 今後の職業指導に一つのをもたらすことができたものと考える。