著者
梶原 理絵 乗松 貞子
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.5-9, 2014 (Released:2014-03-28)
参考文献数
11

目的 : 覚醒度に及ぼす背面開放端座位の影響を, 自律神経機能および大脳機能から検討し, 加えて背面開放端座位における指先圧の有無の影響も考察することである.方法 : 健常成人女性20名を対象に安静仰臥位と背面開放端座位における大脳機能, 自律神経機能を, 2007年10月から11月に測定した.結果 : 被験者は平均25.8±4.1歳であった. 背面開放端座位は安静仰臥位よりも, 脳波のβ波含有率, 心拍数, 拡張期血圧値が高値を示し, 副交感神経活動は低値を示した. また, 指先圧の有無による背面開放端座位の効果は, すべての指標において有意差が認められなかった.結論 : 背面開放端座位は, 自律神経機能のみならず大脳機能においても覚醒度の上昇に効果的な姿勢であることが示唆された. また, 手掌接地した背面開放端座位で, 指先に力を入れた状態と入れない状態を比較すると, 大脳機能, 自律神経機能からは覚醒度に差は認められなかった.
著者
梶原 理絵
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

背面開放端座位時に覚醒度へ働きかける効果的な手掌への刺激についての検証を行った。その結果、安静仰臥位から背面開放端座位に姿勢を変化する時に、他力的に手掌へ刺激を与えることは、脳への刺激として有効であることが明らかとなった。また、タオルを握るという行為は、指示に従うという課題を課せられることにより、覚醒度が上昇し、安らぎ感をも得られることが分かった。さらに、捏ねる作業に課題が大きくなると交感神経活動が活発になり、気分も活性した状態になることが分かった。これらのことから、意識回復に効果があるといわれている背面開放端座位ケアに加えて手掌への刺激を行うことは効果的であると示唆された。