著者
真野 祥子
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

学童期の注意欠陥多動性障害(ADHD)児を持つ母親におけるマターナルアタッチメント形成プロセスの特徴について検討した。12人の母親に半構造化面接を実施し、子どもの行動と養育について母親自身の情動体験を含めて聞き取りを行った。問題行動に直面するとネガティブな感情が生起し養育態度も厳格になりがちであったが、その一方で可愛いと思える様子の時にはポジティブな気持ちとなっていたように、アンビバレントな状態が特徴的であった。マターナルアタッチメントの状態は、学校生活が開始されると悪化していたが、診断後は問題行動の認識の仕方や養育態度に変化が見られ、良好な状態を示すようになった。
著者
澤田 忠幸 宇井 美代子 滑田 明暢 青野 篤子
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
愛媛県立医療技術大学紀要 (ISSN:18805477)
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.23-30, 2015-12-31

本研究では,社会的公正理論に基づき,6因子からなる男女平等の判断基準を測定する尺度を作成し,男女差の有無および性差観,自身の母親観,精神的健康との関連について検討を行った。その結果,性差観には男女差 が認められなかったが,男性よりも女性の方が,男女平等の判断基準として,個人の能力の原理および話し合いによる決定の原理に対して肯定的な認識を有していた。また,個人の能力の原理および二つの手続き的公正の原 理に対して肯定的であるほど,性差観が弱いことが示された。さらに,男女ともに自身の母親観は,男女平等の判断基準や性差観,精神的健康とも関連していたが,男性に比べ女性の方が,母親との関係性が精神的健康ある いは自身の生き方満足感と直接的間接的に関連することが示された。
著者
梶原 理絵
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

背面開放端座位時に覚醒度へ働きかける効果的な手掌への刺激についての検証を行った。その結果、安静仰臥位から背面開放端座位に姿勢を変化する時に、他力的に手掌へ刺激を与えることは、脳への刺激として有効であることが明らかとなった。また、タオルを握るという行為は、指示に従うという課題を課せられることにより、覚醒度が上昇し、安らぎ感をも得られることが分かった。さらに、捏ねる作業に課題が大きくなると交感神経活動が活発になり、気分も活性した状態になることが分かった。これらのことから、意識回復に効果があるといわれている背面開放端座位ケアに加えて手掌への刺激を行うことは効果的であると示唆された。
著者
真野 祥子
出版者
愛媛県立医療技術大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

学童期のADHD児を持つ母親を対象とし,マターナルアタッチメント形成プロセスの特徴について検討した。12人の母親に半構成的面接を実施し,児の行動と養育について母親自身の情動体験を含めて聞き取りを行った。ADHDの症状は母親のネガティブな感情を引出し,問題行動に直面するとネガティブな感情が生起し養育態度も厳格になりがちであったが,その一方で可愛いと思える様子の時にはポジティブな気持ちとなっていたように,アンビバレントな状態が特徴的であった。マターナルアタッチメントの状態は,ルールに沿った行動が求められる学校生活が開始されると悪化していた。この時期のマターナルアタッチメントは母子の生活史の中で最も悪い状態となるのであろう。ADHD児の母親は診断を肯定的に受け止めていた。診断後,母親は自責の念から解放され,本を読んだり親の会に参加し,疾患に関する知識を得ていた。その結果,問題行動が起こった時はその原因を冷静に考えることができ,行動の見方と養育態度も変化したと実感していた。また,診断後,ポジティブなエピソードは顕著に増加し,小学校入学後に大幅に増加したネガティブなエピソードは診断後に減少しており,小学校入学と診断は母親にとって転機であると言える。しかし,将来への不安は依然として大きなままであり,最終的には学校教育終了後,就職や結婚等の社会的自立について将来の見通しが持てず不安を抱いていた。