著者
藤原 朋子 梶原 真二 勝谷 範敏
出版者
広島県立農業技術センター
雑誌
広島県立農業技術センタ-研究報告 (ISSN:09184848)
巻号頁・発行日
no.75, pp.9-18, 2003-12
被引用文献数
1

1999年から2001年の3年間にわたり、スプレーカーネーションの光反射フィルムマルチ栽培における品種比較試験を行った。1.光反射フィルムマルチにより、1番花の採花前進効果と、2番花の採花率上昇する切り花本数増加効果が認められたが、その程度は品種により差があった。2.1番花の採花のピークが10月以降であれば、切り花品質の優れる春期の2番花の切り花本数が多くなるため、光反射フィルムマルチ使用の効果は大きかった。3.光反射フィルムマルチにより10月以前に1番花の採花が前進するような品種の場合は、1番花の切り花品質への悪影響が大きく、光反射フィルムマルチの使用は適当ではなかった。4.7月上旬定植で翌年5月末まで収穫する作型の光反射フィルムマルチ栽培において、切り花本数が多く品質も優れる実用的な品種として、'ゴールド'、'クリスチーナプリンセス'、'パキン'、'うらら'、'トーマリン'、'ブラッキー'、'セーラ'、'エスティマダ'、'ナガノ'および'ラレド'を有望と認めた。
著者
福島 啓吾 梶原 真二 石倉 聡 時安 美奈 福田 直子 後藤 丹十郎
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.18, no.4, pp.373-379, 2019 (Released:2019-12-31)
参考文献数
23
被引用文献数
2

定植後に速やかに生育するトルコギキョウ苗を人工光利用の閉鎖型育苗環境で育てることを意図し,育苗開始から5週間の明期の長さおよびPPFDを明らかにしようとした.育苗は,明暗期の気温を27.5°Cとしたインキュベータで行った.PPFDを平均125 μmol・m–2・s–1とした場合,育苗開始8日後の発芽率は,明期の長さにかかわらず98%以上となった.育苗開始5週間後の苗の節位別の葉身長は,明期の長さが12 hと比較して20 hおよび24 hが大きく,定植から抽苔,発蕾および開花までの日数は小さかった.明期の長さを24 hとした場合,育苗開始8日後の発芽率は,PPFDにかかわらず概ね95%以上となった.育苗開始5週間後の苗の節位別の葉身長は,PPFDが50 μmol・m–2・s–1と比較して100 μmol・m–2・s–1および125 μmol・m–2・s–1が大きく,定植から抽苔,発蕾および開花までの日数は小さかった.これらの結果から,明暗期の気温が27.5°Cの人工光利用の閉鎖型育苗環境では,育苗中の明期の長さを20 h以上,PPFDを100~125 μmol・m–2・s–1にすることで,定植後にロゼット株が発生することなく,速やかに生育するトルコギキョウ苗を生産できることが明らかになった.
著者
福島 啓吾 梶原 真二 石倉 聡 勝谷 範敏 後藤 丹十郎
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.177-184, 2017 (Released:2017-06-30)
参考文献数
33
被引用文献数
2

本実験は,吸水種子湿潤低温処理方法がトルコギキョウの生育および切り花形質に及ぼす影響を明らかにしようとした.無処理を対照とし,10°Cの暗黒条件下で5週間の低温処理を播種前または播種後に行う6処理区についてロゼット性の異なる‘キングオブスノー’と‘ロココマリン’を用いて比較検討した.低温処理終了から定植までの育苗は,日最低気温が21.0~25.5°Cの範囲で推移し平均23.0°C,日最高気温が26.0~43.5°Cの範囲で推移し平均37.2°Cの条件の下で実施した.抽苔,発蕾および開花率は,ロゼット性にかかわらず種子低温処理により無処理と比較して有意に高まったが,低温処理方法による差はなかった.ロゼット性の強い‘ロココマリン’において定植から抽苔,発蕾および開花までの日数は,無処理と比較して種子低温処理により有意に減少した.切り花形質は,両品種ともに種子低温処理各区に大きな差はなかった.以上から,高温期に育苗する作型では,種子低温処理を行うことが重要であり,処理方法は低温による生育促進効果に影響を及ぼさないことが明らかになった.