著者
立石 千晴 中川 浩一 梶本 敦子 岸田 大 曽和 順子 鶴田 大輔 小林 裕美 石井 正光
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.119-122, 2010-04-30 (Released:2011-05-26)
参考文献数
13

43歳,女性。セコガニ(雌ズワイガニ)の味噌汁を摂食して2時間後に入浴し,その後就寝したところ,摂食の7時間後に全身に蕁麻疹が生じた。レスタミンコーワ糖衣錠®を内服して皮疹はいったん消退したが,同9時間後にかゆみで覚醒し,短時間の意識消失および嘔吐と下痢を認めた。即時型の症状を伴わない遅発性アナフィラキシーと考えた。回復後,セコガニを用いてプリックテストとスクラッチテストを行ったところ,外子(受精卵)で陽性,内子(卵巣)で陰性,ミソ(肝・膵臓)で陰性であった。さらに,雄のズワイガニ,タラバガニ,ケガニの筋肉を用いて同テストを行ったところ,雄ズワイガニとケガニのスクラッチテストのみ陽性であった。その理由はタラバガニがヤドカリの仲間であり,カニ類との交叉性が低かったためと推測した。