著者
日比谷 紀之 梶浦 欣二郎
出版者
日本海洋学会
雑誌
日本海洋学会誌 (ISSN:00298131)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.172-182, 1982-07-25 (Released:2011-06-17)
参考文献数
8
被引用文献数
13 195

長崎湾内で通例は冬期にしばしば見られるあびきが, 1979年3月31日に長崎海洋気象台観測史上最大の規模で発生した.これを例として, 数値シミュレーションを行ない, その発生機構について, 定量的な考察を試みた.その結果, 湾内の顕著な振動 (長崎験潮所で最大潮位差278cmを記録) は, 東シナ海を, ほぼ東向きに, 約110kmh-1の速度で進行した振幅約3mbの気圧波によっておこされたとすれば説明できることがわかった。また, その発生の過程については,1) 東シナ海大陸棚上での気圧波との共鳴的カップリングによる海洋長波の振幅10cmに及ぶ増幅3) 長崎湾内での浅水増幅および反射干渉による増幅;3) 長崎湾の固有振動系と, 五島灘領域の振動系との干渉による共鳴増幅効果など, 数段階の増幅作用が絡んでおり, これらによって生成された約35分周期の一連の波によって, 同湾の固有周期に相当する36分および23分周期で共鳴的に増幅されたことが, 定量的に結論づけられた。
著者
相田 勇 梶浦 欣二郎 羽鳥 徳太郎 桃井 高夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所研究速報
巻号頁・発行日
vol.8, pp.58-62, 1964-09

昭和39年6月16日新潟地震調査概報
著者
相田 勇 梶浦 欣二郎 羽鳥 徳太郎 桃井 高夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
地震研究所研究速報
巻号頁・発行日
vol.8, pp.58-62, 1964-09

昭和39年6月16日新潟地震調査概報
著者
相田 勇 梶浦 欣二郎 羽鳥 徳太郎 桃井 高夫
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.741-780, 1965-03-15

A tsunami accompanying the Niigata Earthquake of June 16, 1964 is described on the basis of mareograms collected in the vicinity of the source area and a field survey, carriedout immediately after the earthquake by the members of the Earthquake Research Institute, along the coast of the Japan Sea from Akita to Naoetsu. The generating area of the tsunami, estimated by means of an inverse travel chart of the wave front based on the arrival time of the initial motion of the tsunami to the coastal station, is located in the sea on the continental shelf, extending about 90km in an elongated shape roughly parallel to the coast line from the northern part of Niigata Prefecture to Yamagata Prefecture.
著者
梶浦 欣二郎
出版者
日本海洋学会
雑誌
海の研究 (ISSN:09168362)
巻号頁・発行日
vol.11, no.2, 2002-03-05

本学会名誉会員増澤譲太郎博士は2000年8月29日に享年77歳で亡くなられました。博士は東京帝国大学地理学科を卒業後,1946年に中央気象台(現気象庁)に就職,諏訪湖の研究に着手されました。その後,気象定点観測船による黒潮観測資料の解析に従事され,1954年以降,凌風丸による東北海区の黒潮続流の観測を指揮して,黒潮の実体解明に貢献されました。1962年から2年間,米国に留学してモンゴメリ教授の指導を受け,帰国後,亜熱帯モード水の研究を発表。黒潮協同観測(CSK)では,137°E定線観測計画を策定されました。1976年に日本海洋学会賞を受賞。1980年から3年間は気象庁長官,定年退官後は東海大学海洋学部教授,1987年から2年間は日本海洋学会長を務められました。謹んで哀悼の意を表します。
著者
梶浦 欣二郎
出版者
東京大学地震研究所
雑誌
東京大学地震研究所彙報 (ISSN:00408972)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.p415-440, 1981
被引用文献数
2

Tsunami energy generated by an earthquake is estimated on the basis of a simple fault origin model of the earthquake. Tsunami energy Et is given by log Et(ergs)=2Mw+log F+5.5 where Mw is the moment-magnitude of earthquake and F is a function of fault parameters (maximum F is about 0.1), such as the dip angle δ, slip angle λ and the relative depth h*(=H*/L; where H* is the mean depth of the fault plane with the length L and width W). The aspect ratio (=W/L) is assumed to be 1/2. The variation of F with respect to the full range of δ, λ, or h* (<1.0) is about a factor of 10. In particular, the difference of tsunami energy between the vertical faults with the dip and strike slips is conspicuous. Since the depth dependence of the tsunami energy is given in terms of the relative depth h*, the decrease of energy with the increase of the fault depth H* is more significant for smaller earthquakes. The results are compared with empirical values of tsunami energy published so far. The general trend of log Et with respect to Mw is consistent with the above formula. However, it is noted that the values of tsunami energy derived in the past on the basis of the energy flux method were systematically overestimated by a factor of 10 or more. On the other hand, the maximum tsunami energy (Chilean earthquake of 1960) would be around 1023 ergs and somewhat lower than the value expected from the formula.地震によっておこる津波のエネルギーを,幾何学的相似を仮定した簡単な地震断層モデルにもとずいて推定した.その結果によると津波エネルギーEt(エルグ)は,Log Et=2Mw+Log F+5.50で与えられる.ここで,Mwは地震のモーメント・マグニチュードであり,Fは地震モーメントと直接関係しない断層パラメータの関数である.長さL,幅Wの地震断層を考えると,Fに含まれるパラメータは断層面の傾斜角δ,断層面上のすべり方向λ,断層面の相対深さh*(h*IH*/L;H*は断層面の平均深さ,Lは断層の長さ),および断層面のたてよこ比W/Lであるが,このうちW/L=1/2を仮定した.これらのパラメータの変化により,Fは最大1桁くらい変るが,最大のFの値は約0.1である.鉛直の断層で,たてずれのときとよこずれのときの津波エネルギーの違いが最も大きい.断層面の深さによる津波エネルギーの違いは,相対深さh*の関数であり,やや深い地震ではEt~exp(-h*/2.4)の程度にエネルギーは深さとともに減少する.h*はもともと断層の長さLで無次元化されているので,Mwが小さくなるとLが減少するため,小さな地震ほど津波エネルギーの深さH*による減少率は大きくなる.これらの結果を,今までの津波エネルギーの推測値と比較する.まず,いろいろの方法によって推定された津波エネルギーの信頼度を検討し,エネルギー推定の不確かさを明らかにした.最も普通に行なわれる,エネルギー・フラックスを利用する方法では,今までの値は系統的に10倍以上の過大評価であるがMwに対する依存性は,Log Et~2Mwと矛盾しない.津波数値計算と実測波高との比較から求めた津波エネルギーは,もともと断層モデルから出発していることもあって上式でよくあらわされる.最大級の地震津波であるチリ津波について,地殻変動の推定から求めた津波エネルギーは1023エルグの程度と思われ,上式の方が過大評価ぎみである.これは,断層モデルを簡単化しすぎていることにも原因があるであろう.