著者
山本 昌幸 棚田 教生 元谷 剛 小林 靖尚 片山 知史
出版者
一般社団法人 水産海洋学会
雑誌
水産海洋研究 (ISSN:09161562)
巻号頁・発行日
vol.84, no.3, pp.178-186, 2020-08-25 (Released:2022-03-17)
参考文献数
25
被引用文献数
1

瀬戸内海東部のアイゴの資源生態を明らかにするため,2013年4–12月に岡山県,香川県,徳島県で漁獲された本種の年齢・成長と産卵期について調べた.標準体長は117–310 mmであった.生殖腺重量指数(GSI)は雌が0.04–40.36,雄が0.01–30.16となった.組織切片観察から,雌雄それぞれGSIが3.57と4.79以上の個体が成熟し,7月下旬に退行期の雌が観察された.GSIが3.57以上の雌と4.79以上の雄は,それぞれ6–8月と6–7月に出現した.さらに雌雄ともにGSIは6月中旬から7月に高くなった.耳石のチェックマークは6–8月に年1回形成された.最高年齢は雄と雌でそれぞれ4歳と8歳であった.雌雄の有意な成長差は認められなかった.成長式は,SLt=255 (1−e−0.56(t+0.95)), (SL:標準体長mm, t:年齢)となった.
著者
棚田 教生 新井 章吾 牧野 賢治
出版者
徳島県立農林水産総合技術センター水産研究所
雑誌
徳島県立農林水産総合技術センター水産研究所研究報告 (ISSN:13472763)
巻号頁・発行日
no.2, pp.41-44, 2003-07

徳島県北部沿岸の折野地先に設置された離岸堤において、自然成立したヒジキ群落が確認された。2002年7月にSCUBA潜水によって、離岸堤のヒジキ群落内で3カ所の枠取りをおこない、同時にヒジキ生育帯の幅を測定した。採集したヒジキについて、湿重量と大型藻体10株の藻長を計測した。ヒジキは強い波浪が遮へいされる離岸堤内側に群落が成立しており、その生育水深は0.3-0.6m(D.L.基準+0.6-0.3m)であった。ヒジキの現存量は20.7kg/m2(湿重量)であり、生育帯の幅は50cmであった。離岸堤の総延長が1116.1mであることから、折野地先のヒジキの現存量は11.6トンと概算され、ヒジキの増産法として、離岸堤の利用も効果的であることが、今回の調査で明らかになった。折野地先においては、離岸堤を設置するという環境改変によって冬季の強い波浪が遮へいされ、離岸堤の内側で適度な流動環境が形成されたことが、ヒジキ群落の形成をもたらしたと考えられた。