著者
棚田 教生 新井 章吾 牧野 賢治
出版者
徳島県立農林水産総合技術センター水産研究所
雑誌
徳島県立農林水産総合技術センター水産研究所研究報告 (ISSN:13472763)
巻号頁・発行日
no.2, pp.41-44, 2003-07

徳島県北部沿岸の折野地先に設置された離岸堤において、自然成立したヒジキ群落が確認された。2002年7月にSCUBA潜水によって、離岸堤のヒジキ群落内で3カ所の枠取りをおこない、同時にヒジキ生育帯の幅を測定した。採集したヒジキについて、湿重量と大型藻体10株の藻長を計測した。ヒジキは強い波浪が遮へいされる離岸堤内側に群落が成立しており、その生育水深は0.3-0.6m(D.L.基準+0.6-0.3m)であった。ヒジキの現存量は20.7kg/m2(湿重量)であり、生育帯の幅は50cmであった。離岸堤の総延長が1116.1mであることから、折野地先のヒジキの現存量は11.6トンと概算され、ヒジキの増産法として、離岸堤の利用も効果的であることが、今回の調査で明らかになった。折野地先においては、離岸堤を設置するという環境改変によって冬季の強い波浪が遮へいされ、離岸堤の内側で適度な流動環境が形成されたことが、ヒジキ群落の形成をもたらしたと考えられた。
著者
池脇 義弘 牧野 賢治 西岡 智哉 平野 匠 上田 幸男
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.82, no.6, pp.917-922, 2016 (Released:2016-11-22)
参考文献数
23
被引用文献数
2 1

瀬戸内海をはじめ各地の藻類養殖漁場で不足しているDINを補うための新しいタイプの施肥剤(硝酸アンモニウム溶液をゼラチンで固めたのもの)を開発した。ケースに入れない2タイプと穴の開いたケースに充填したもの2タイプを作製し,実験水槽内への溶出量を硝酸塩センサーで測定した。その結果,肥料成分60-70%の溶出に,ケースに入れないタイプはおよそ5日,ケース入りのタイプはおよそ20日を要した。このことから,施肥剤を入れるケースの穴の径と数を変えることにより肥料成分の溶出速度を調整できることが示唆された。