著者
森 智昭 金井 英倫 寺崎 雅子 門田 哲弥 嶋根 俊和 三邉 武幸
出版者
昭和大学学士会
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.547-552, 2012 (Released:2013-06-07)
参考文献数
17

背景:IgA腎症は慢性糸球体腎炎のうち,糸球体メサンギウム細胞・基質の増殖性変化と,メサンギウム領域へのIgAを主体とする沈着物を認める疾患である.近年IgA腎症患者に口蓋扁桃摘出術とステロイドパルス療法を行う扁摘パルス療法の有効性が注目されている.またIgA腎症患者の口蓋扁桃では,慢性扁桃炎患者の口蓋扁桃と比較して病理組織学的に異なった特徴を示すとされている.対象,方法:昭和大学藤が丘病院腎臓内科で2007年から2008年にIgA腎症と診断され,口蓋扁桃摘出術を施行した49例の口蓋扁桃の病理組織学的特徴について検討した.結果:IgA腎症患者の口蓋扁桃では,リンパ濾胞の大きさが大小様々で境界が不明瞭となる,濾胞間領域も不規則に拡大,上皮では上皮間に形質細胞系細胞が増加・充満するといった特徴を各項目で半数以上の症例で認められた.結論:IgA腎症患者の口蓋扁桃には特徴的所見を高率に認めた.これらの特徴とIgA腎症の病態との関連は明らかではなく,今後の検討課題と考えられる.
著者
森 智昭 MOHAMED Ahmed S. A. 佐藤 正資 山崎 徹
出版者
日本農薬学会
雑誌
日本農薬学会誌 (ISSN:03851559)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.405-409, 2000-11-20
被引用文献数
4

ミズキ科サンシュユの新鮮葉から精製エラジタンニン標品を得た.線虫Caenorhabditis elegansを同調培養した.未成熟成虫と抱卵成虫をこのタンニン(10 ppm濃度)に5日間暴露しても運動能に若干の低下が認められたものの, 未成熟成虫は死亡せず, 抱卵成虫の死亡率も7%に過ぎなかった.しかし, 未成熟成虫の性的成熟および抱卵成虫の繁殖能は阻害された.L1幼虫の運動能も低下しなかったが, その成長は阻害された.同濃度下でさらに暴露試験を続けると, 抱卵成虫と未成熟成虫の死亡率は急激に高まり, 10日目で未成熟成虫の死亡率は56%, 抱卵成虫で78%に達した.しかし, L1幼虫は死亡しなかった.1 ppm濃度下でL1幼虫の成長が若干阻害された.1000 ppm濃度下でなお生存していた抱卵成虫の内臓は溶解・消失していた.しかし, 体内での卵割は認められた.