著者
渡邊 淳子 森 真喜子 井上 洋士
出版者
日本臨床倫理学会
雑誌
臨床倫理 (ISSN:21876134)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.53-62, 2017 (Released:2021-07-12)
参考文献数
20

摂食嚥下訓練において言語聴覚士(以下,ST)はジレンマを感じることがある.そこで,摂食嚥下訓練の場面に注目し,STが経験するジレンマの様相とそのようなジレンマが生じるプロセスを明らかにすることを目的とした.摂食嚥下訓練の経験があるST8名に半構造化インタビューを行い,得られたデータをStrauss & Corbin版グラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて分析した.10のカテゴリーと1つのコアカテゴリーが抽出され,帰結となったカテゴリーのうち《患者に無益な努力をさせ続ける苦悩》,《直接訓練を止めると患者が衰弱してしまうジレンマ》,《患者の益にならないような直接訓練を続けるジレンマ》,《患者の死に加担したように感じる苦悩》の4つのカテゴリーがジレンマの状況であった.そのうち3つの状況は倫理原則が対立する倫理的ジレンマの状況であった.また,本研究の結果から,STが感情労働による疲弊や共感疲労に陥るリスクが高いことも示唆された.
著者
小谷野 康子 宮本 真巳 森 真喜子 立石 彩美 小泉 仁子
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、精神科外来デイナイトケアにおける感情活用能力促進プログラムの有効性を明らかにすることである。弁証法的アプローチを用いた当該プログラムに衝動性コントロールの目的で1年以上参加している患者1事例にインタビューを実施して介入後の変化についてグラウンデット・セオリー・アプローチを用いて質的帰納的に分析した。当該プログラムは、患者の感情制御、思考の修正、行動の変化に貢献していた。その結果、患者は社会での新しい役割に関与し、健康的で現実的な生活を模索する新たな生き方を獲得していた。