著者
伊東 美緒 宮本 真巳 高橋 龍太郎
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.5-12, 2011-01-15 (Released:2017-08-01)
参考文献数
11
被引用文献数
2

認知症の行動・心理症状はさまざまな要因が絡み合って出現するが,介護職員のかかわりに対する反応として症状が現れることが少なくない.そこで介護職員がかかわったあとに何らかの徴候(sign)が現れる可能性があると考え,「介護職員とのかかわりの中で生じる,意識的とはいえない不安・混乱・落ち着きのなさ・あきらめを示す態度や言動」を不同意メッセージと命名した.不同意メッセージの特徴を明示することと,不同意メッセージが認められたときに,BPSDを回避することのできる介護職員の対応を明らかにすることにした.《服従》,《謝罪》,《転嫁》,《遮断》,《憤懣》という5つの不同意メッセージが抽出され,特に《服従》,《謝罪》,《転嫁》の3つは認知症高齢者の拒否的行動と捉えられにくいため,介護職員に気づかれないままにBPSDに至ることがあった.介護職員が,早い段階でこれらのメッセージに気づき,『ケアの方向性を変更する』,『状況が変化するのを待つ』,『責任転嫁のための言い訳を提案する』ということができた場合に,BPSDへの移行を防ぐことができていた.
著者
小谷野 康子 宮本 真巳 森 真喜子 立石 彩美 小泉 仁子
出版者
順天堂大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究の目的は、精神科外来デイナイトケアにおける感情活用能力促進プログラムの有効性を明らかにすることである。弁証法的アプローチを用いた当該プログラムに衝動性コントロールの目的で1年以上参加している患者1事例にインタビューを実施して介入後の変化についてグラウンデット・セオリー・アプローチを用いて質的帰納的に分析した。当該プログラムは、患者の感情制御、思考の修正、行動の変化に貢献していた。その結果、患者は社会での新しい役割に関与し、健康的で現実的な生活を模索する新たな生き方を獲得していた。