著者
渡辺 光博 森本 耕吉
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、メタボリックシンドローム治療標的としてAcetyl-CoA Carboxylase 2(ACC2)に着目した。ACC2はエネルギー代謝改善につながる治療標的たりうるが、我々は胆汁酸投与によるマウス肝ACC2遺伝子発現低下を見出しており、これを踏まえACC2転写制御機構解明を目指した。マウスACC2遺伝子には2つの転写開始点があり、本研究で各調節領域を検討、また各mRNAの諸条件下での発現変化を検討した。その結果、2種類のmRNAは異なる発現様式を示し、特に3’側のmRNA発現に関与する機序が肝内エネルギー代謝改善の治療標的となる可能性が示された。
著者
浅野 貞美 山口 智晴 森本 耕吉 諸遊 直子 藤岡 佳伸 谷島 薫 川上 愛 後藤 健
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.56, no.6, pp.225-231, 2023 (Released:2023-06-28)
参考文献数
31

血液透析患者が透析療法を継続するためには,注意・遂行機能を維持することが必要である.血液透析患者は認知機能障害の罹患率が高いが,認知機能の一部である注意・遂行機能の実態や地域在住高齢者との差異,認知機能と関連が認められている握力や下肢機能,骨格筋量との関連性については十分に検証されていない.そこで本研究は,血液透析患者32名と地域在住高齢者31名を対象に,trail making test part B(TMT-B)を用いて,注意・遂行機能の実態を比較検討した.また血液透析患者における筋力や骨格筋量と注意・遂行機能との関連性を検証した.その結果,血液透析患者のTMT-Bの所要時間は,地域住民と比較して有意に長く,血液透析患者は注意・遂行機能の低下リスクが高いことが示唆された.またTMT-Bと握力,SMIに有意な負の相関が認められた.今後は縦断研究により,注意・遂行機能と握力,骨格筋量との関連性やTMT-Bが臨床的に有用な指標となるのかを検討することが必要である.