著者
森田 亜紀 早川 文代 香西 みどり
出版者
一般社団法人 日本色彩学会
雑誌
日本色彩学会誌 (ISSN:03899357)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.107, 2020-07-01 (Released:2020-08-09)
参考文献数
26
被引用文献数
1

パンの品質は主に外観,香り,食感,風味から総合的に判断されるが,中でも香りは消費者のパンの嗜好性を左右する重要な品質要因とされている.パンの香りの評価方法として官能評価や香気成分分析などがあるが,パンの香りのイメージを専門家以外で共有することは難しい.本研究では,パンの香りの官能特性を明らかにし,色彩評価による結果と合わせて考察した. パンに含まれる7成分を添加した香りの異なるワンローフ成形の食パンを調製した.パンの香りの強さや質の違いは,10語の評価用語による9段階評定尺度法を用いた評価により表現できた.またPCCS表色系の新配色カード199を用いてパンの香りのイメージに合致する色を選択させたところ,パンの香りは橙,乳に由来する香りは黄と相関があった.また,焼成で生じる香りは明度の高い方向で表現された. 本評価法を利用することにより,パンの香りは言葉で表現可能なだけでなく色彩により可視化できる可能性が示され,より消費者にもわかりやすくパンの香りを伝える手段として提案できた.
著者
森田 亜紀 早川 文代 大田原 美保
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
pp.NSKKK-D-22-00084, (Released:2023-02-17)

ベーカリー製品に特化した分析型パネルを評価者として,ベーカリー製品9品目の官能評価の設計や品質情報の伝達の際に参照できるテクスチャー用語体系を構築する一助となる調査と解析を行い,以下の結果を得た.(1)ベーカリー製品9品目のテクスチャー描写に使われる用語のデータを得ることができ,そのうち69語が「ベーカリー製品の主要なテクスチャー用語」と位置付けられた.(2)ベーカリー製品と用語を集計し主成分分析を適用したところ,ベーカリー製品のテクスチャーは、「かたさに関連するテクスチャー」,「空気を含んだやわらかさに関連するテクスチャー」に加え,「油脂由来のテクスチャー」や「咀嚼中に口腔内で感じる水分に関連するテクスチャー」が重要であると解釈できた.(3)官能評価の設定や情報伝達に利用できるデータベースが作成でき,ベーカリー製品毎の代表的なテクスチャー用語とその語彙特徴が明らかとなった.
著者
森田 亜紀 早川 文代 香西 みどり
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.13-23, 2020-01-15 (Released:2020-01-27)
参考文献数
27
被引用文献数
1

パルミジャーノ・レッジャーノを添加したチーズブレッドの風味に寄与する成分について,アミノ酸,脂肪酸,有機酸からなる32成分モデルチーズを用いた評価を実施した.チーズブレッドの風味に対して,オミッションテストにより,アミノ酸,脂肪酸の寄与が大きいこと,さらに,アディッションテストにより,グルタミン酸ナトリウム,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニン,プロリン,酪酸が風味に影響していることが確認できた.これら8成分を添加することによりパルミジャーノ・レッジャーノを添加したパンの風味に関する官能特性を再現できた.アディッションテストの結果を主成分分析で解析したところ,第1主成分は「チーズの濃厚感」,第2主成分は「パンらしい香ばしさ」,第3主成分は「発酵香」と解釈でき,これらの風味特性のバランスでチーズブレッドの風味が形成されていることが確認できた.グルタミン酸ナトリウムはうま味だけでなく,チーズブレッドの風味形成に大きな役割を果たしていた.揮発性成分の分析結果より,バリン,メチオニン,イソロイシン,ロイシン,フェニルアラニンを添加することにより,イーストの発酵により生成するアルデヒド類やアルコール類,メイラード反応で生成するアルデヒド類が増加しており,これら成分がチーズブレッドの風味を形成していると考えられた.本研究により,チーズブレッドの風味に寄与する8成分をパン生地に添加することで,チーズブレッドの風味を再現でき,その製パン性はチーズブレッドよりも良好であったことから,良好な品質のチーズ風味ブレッドを作成する手段を提案できた.
著者
森田 亜紀
出版者
美学会
雑誌
美學 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.1-14, 2003-09-30

The middle voice, distinct from the active and the passive, is almost forgotten in our days. We could adopt this linguistic category as an alternative category in thinking about the experience of art. According to the linguists' discussions, in the middle voice the subject is inside the process and is affected from it. The process arises of itself without any agent. The middle voice is to grasp a matter not depending on identical terms or units, but starting from an event itself. As the middle voice event takes place, something is slipping off from itself; there is neither 1 nor 2. It concerns between 1 and 2. It is difficult to describe the experience of art in the schema of <<subject - object>> , <<active - passive>> ; both in creation and reception, there takes place something middle. It is also difficult to distinguish the sensible and the signification, the expression and the expressed in the experience; two moments are differentiated and mediated at the same time. In this sense the experience of art seems to be middle. The middle phase in the experience of art is a foundation event from which <<subject - object>> , <<the sensible - the signification>> are deriving.