- 著者
-
森田 啓義
古賀 勝敏
阪田 省二郎
- 出版者
- 一般社団法人情報処理学会
- 雑誌
- 情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
- 巻号頁・発行日
- vol.31, no.5, pp.683-691, 1990-05-15
3次元物体計測法の一種である光パターン投影法は 物体に投影した2次元パターンの投影面と受像面における対応関係より 三角測量の原理を用いて 物体表面上の位置を計測する手法である.光パターン投影法は 計測が高速に行え 曲面物体の計測に適しているという利点をもつが 複数物体の同時計測においては 受像側では必ずしも投影側と同じ順序のパターンが観測されるとは限らず 一般には 欠落 ずれといったパターンの乱れが生じる.パターンの乱れが存在するもとで 両パターンの正確な対応付けを行うため 本論文では 投影パターンに多値 M 配列を用いた計測方法を提案する.M 配列はある一定サイズのウインドウを配列に沿ってすべらせたとき すべての可能な (全零パターンを除く) パターンが 一周期内に必ず一度 しかも一度だけ現れるというウィンドウ性をもつ2次元周期配列である.このウィンドウ性を利用すれば 投影パターンと受像パターンの一意的な対応は原理的に可能である.しかし 受像パターンに乱れた部分が存在すると 一義的には対応付けられない部分が生じる.この対応付けのあいまいな部分の大きさはウインドウサイズと密接に関係しており できるだけ小さなウィンドウを使用することによって あいまいな部分が減少し 結果的に誤対応パターンの発生を抑えることができる.そこで 従来使用していた2値 M 配列を7値 M 配列に拡張してウィンドウの小型化を図った.提案方式の有効性をいくつかの測定例から明らかにする.