著者
阪田 省二郎
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.3_44-3_57, 2008-01-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
66
被引用文献数
1

代数的な誤り訂正符号の基本的な考え方,方法について,最近の進展も含めて概説する.線形代数にプラスアルファの代数を加えたもの,代数的な構成が符号の効率的な利用(符号化,復号,ハードウェア化)に直結しているものを,狭義の「代数的符号」と呼び,そのような符号の構成と利用, 特に復号法について述べる.代数的な方法の基礎となるのは,有限体上の(1変数,または,多変数)多項式, あるいは,(一次元, または, 多次元)配列による符号の表現である.復号において,線形再帰関係とグレブナー基底の概念が重要な働きをする.
著者
渡辺 裕文 中野 貫二 森田 啓義 阪田 省二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.28, no.10, pp.1099-1102, 1987-10-15

フィリップスらの陰関数表現された曲面の交線を微分方程式の解として表す方法をテンソル積曲面に拡張して テンソル積曲面パッチの組で与えられた2つの曲面モデルの交線を数値的に算出するアルゴリズムを提案する.この方法では いったん交差パッチ対が求まれば初期点によらず交線上の1点が直ちに求められる.さらに交線から離れることなく交線上の相続く点を次々求めることができ しかも複数のパッチ対にわたり連続的に交線を求めることができる.なお この方法の簡単な適用例によってその有効性を確かめた.
著者
阪田 省二郎 栗原 正純
出版者
電気通信大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究は、本研究代表者が以前から行ってきた代数幾何符号の高速復号法の研究を発展させつつ、「与えられた入出力系列対を許容する線形帰還シフトレジスタの合成問題」を高速に解くアルゴリズムを確立することが最大の目的である。従来よく研究されてきた「与えられた系列を出力する線形帰還シフトレジスタの合成問題」は、代数的符号、特にReed-Solomon符号やBCH符号のような実用上も重要な誤り訂正符号、さらには、次世代誤り訂正符号として有望視されている代数幾何符号等の高速復号法と関係が深く、情報通信工学において重要な意味を有しているのに対し、本研究課題は、テプリッツ、および、ブロック・テプリッツ型の非同次連立1次方程式の高速解法に対応しており、拡張した問題を扱っている。これは、代数的符号の高速復号法と離れても、線形システムに対するWiener-Hoph方程式の高速解法として、それ自身、重要な意義を有する。本研究では、まず1次元入出力系列対の場合について、本問題を解く高速アルゴリズムを与え、実際に、その高速性を計算機シミュレーションにより確認した。このアルゴリズムの理論面については、2002年6月、スイスのLausanneにおいて開催されたISIT-2002(2002年IEEE国際情報理論Symposium)で発表した。次に、この結果を、Reed-Solomon符号やBCH符号のリスト復号の第2段階における有理関数体上での因数分解の高速解法に応用できることを明らかにした。さらに、多次元(2次元以上)の入出力系列対の場合にアルゴリズムを拡張し、それを代数幾何符号のリスト復号の第2段階における代数関数体上での因数分解の高速解法に応用可能であることを理論的に示した。これらの成果を、2002年6月末から7月初めに、安房鴨川と横浜において引き続き開催されたAEWIT-2003(2003年アジア・ヨーロッパ情報理論研究ワークショップ)、および、ISIT-2003(2003年IEEE国際情報理論Symposium)において発表した。当初、代数的誤り訂正符号のより高精度の復号という最終的な研究目標への前段階として、システム理論的な問題の形で本研究課題を設定したが、その目標にほぼ沿った形で、Reed-Solomon符号や代数幾何符号のリスト復号への応用が可能であることを明らかにした。また、関連する研究として、代数曲線符号の並列複号、複合誤り訂正符号についての成果を、電子情報通信学会論文誌に共著論文として出版した。
著者
高梨 健一 阪田 省二郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1995, 1995-09-05

現在、もっとも良く使われている誤り訂正符号は、RS符号やBCH符号である。しかし、符号化率を一定にしたうえで符号長を長くしていくと相対最小距離が0に近付いていく。代数曲線符号のクラスはこのような欠点を克服した符号を含んでおり、大きな符号長での利用が期待されている。本研究では、一般の一点代数曲線符号の高速復号法を実現するに当たっての諸問題を扱う。この方法は阪田アルゴリズムに基づいており、消去法に基づくFeng and Raoの方法より、理論上では高速であると言われている。しかし、そのプログラム化において、十分注意を払わなければ、高速化の程度が損なわれる可能性がある。ここでは、手近かの資源を利用して実際にどれだけの効率化が達成できるかを調べる。すなわち、復号法そのものは十分一般性のある形でプログラム化しておき、一方、現実のWSを利用して三次元以上の空間曲線の具体例を構成し、それらに適用した時の復号法の効率をシミュレーションも含めて調査する。
著者
森田 啓義 古賀 勝敏 阪田 省二郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.31, no.5, pp.683-691, 1990-05-15

3次元物体計測法の一種である光パターン投影法は 物体に投影した2次元パターンの投影面と受像面における対応関係より 三角測量の原理を用いて 物体表面上の位置を計測する手法である.光パターン投影法は 計測が高速に行え 曲面物体の計測に適しているという利点をもつが 複数物体の同時計測においては 受像側では必ずしも投影側と同じ順序のパターンが観測されるとは限らず 一般には 欠落 ずれといったパターンの乱れが生じる.パターンの乱れが存在するもとで 両パターンの正確な対応付けを行うため 本論文では 投影パターンに多値 M 配列を用いた計測方法を提案する.M 配列はある一定サイズのウインドウを配列に沿ってすべらせたとき すべての可能な (全零パターンを除く) パターンが 一周期内に必ず一度 しかも一度だけ現れるというウィンドウ性をもつ2次元周期配列である.このウィンドウ性を利用すれば 投影パターンと受像パターンの一意的な対応は原理的に可能である.しかし 受像パターンに乱れた部分が存在すると 一義的には対応付けられない部分が生じる.この対応付けのあいまいな部分の大きさはウインドウサイズと密接に関係しており できるだけ小さなウィンドウを使用することによって あいまいな部分が減少し 結果的に誤対応パターンの発生を抑えることができる.そこで 従来使用していた2値 M 配列を7値 M 配列に拡張してウィンドウの小型化を図った.提案方式の有効性をいくつかの測定例から明らかにする.
著者
金山 知俊 阪田 省二郎 増山 繁
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1362-1373, 1996-08-25
被引用文献数
14

本論文では, さまざまな樹種に共通の分枝規則を再現し, 光, ホルモンの影響も考慮した樹木の生長モデルについて述べる. この生長モデルは, 光環境の影響による枝の枯死と屈曲, 植物ホルモンによる頂芽優勢, 休眠芽の休眠打破, 枝の短枝化, 屈光性, 屈地性などの樹木のさまざまな性質の再現, 節, 葉序などの樹木の分枝規則の正確な再現を, それぞれ光環境モデル, ホルモンモデル, 分枝モデルという三つのサブモデルを用いて実現している. これらサブモデルに与えるパラメータを変更することで, 環境の変化, 樹種の変更への対応を可能としている.