著者
植芝 俊夫 岡谷 貴之 佐藤 智和
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.18(2004-CVIM-148), pp.1-18, 2005-03-03

カメラキャリブレーションについて,特にその幾何学的側面に絞って最近の主要な研究のサーベイを行う.準備として,本稿で必要とされる射影幾何の基礎事項の解説の後,透視投影カメラモデルを導入してその射影空間における振る舞いについて述べる.そして,このモデルに基づくキャリブレーション方法として,参照物体を利用する方法とそれを利用しないセルフキャリブレーションに分類して様々なアルゴリズムを紹介する.さらにバンドル調整による推定パラメータの高精度化に言及し,最後に透視投影に従わないレンズ歪みのモデル化とその校正について述べる.
著者
河井 良浩 植芝 俊夫 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.315-316, 1997-09-24
被引用文献数
1

マイクロマシン技術において, その基礎のひとつである計測評価法の確立が求められている。形状測定に関しては, 市販品としてレーザ顕微鏡, 触針式の形状測定機, 触針式の段差測定機, 原子間力顕微鏡などがあるが, 3次元的な複雑形状部品の測定, 評価には適していない。また, 微生物などの動物体の3次元形状測定において, レーザ顕微鏡は生命体を殺傷してしまうなどの理由で適当ではない。光学顕微鏡から得られる画像を解析するシステムに関しては, 単眼の画像をイメージフォーカスを利用して3次元形状を復元するシステムが市販されている。しかし, 精度, 動物体を扱えないなどの短所がある。そこで2眼のステレオ画像を扱うことで3次元形状を計測するステレオ顕微鏡の研究が行われている。今回, 我々は光学顕微鏡に2台のカメラ, x-y-zステージを組合わせ, 立体形状を柔軟に測定できるステレオ顕微鏡システムを開発した。対象物体を拡大したステレオ画像を解析し, 3次元微細構造の復元を行う。ステレオ法に関する技術については我々の研究・開発してきた処理モジュールを組み合わせることで行っている。[2]のシステムとの相違は, x-y-zステージとの組合わせにより, (1) カメラキャリブレーションを容易に行え, (2) 高倍率時の焦点深度の変化に対応可能な点である。本発表では, システムの概要を紹介し, カメラキャリブレーション法や復元手法について述べる。
著者
植芝 俊夫 富田 文明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:18827810)
巻号頁・発行日
vol.44, no.17, pp.89-99, 2003-12-15
参考文献数
18
被引用文献数
9

平面パターンを用いて複数のカメラを同時に校正する新しいアルゴリズムを提案する.これはSturm-Maybank-Zhang による単一カメラのためのキャリブレーション法の拡張であり,2次元位置が既知の参照点を描いたモデル平面を3カ所以上に置いてカメラに提示するだけで,個々のカメラの内部パラメータのみならずカメラ間の位置関係をも推定することができる.モデル平面の動きを知る必要がないという元のアルゴリズムの長所が保存されるので,本手法はステレオビジョンなど複数のカメラから成るシステムを校正する簡便な手段を与える.シミュレーションと実データを用いた実験により提案手法の有効性を示す.A new calibration algorithm for multi-camera systems using a planar reference pattern is proposed. The algorithm is an extension of Sturm-Maybank-Zhang style plane-based calibration technique for use with multiple cameras. Rigid displacements between the cameras are recovered as well as the intrinsic parameters only by capturing with the cameras a model plane with known reference points placed at three or more locations. Thus the algorithm yields a simple calibration means for stereo vision systems with an arbitrary number of cameras while maintaining the handiness and flexibility of the original method. The validity of the proposed technique was verified through simulation and experiments with real data.
著者
河井 良浩 石山 豊 植芝 俊夫 高橋 裕信 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.48, pp.291-292, 1994-03-07

これまでのビジョンシステムは受動的で、与えられた環境のみを観測・認識していたが、ロボットの眼として考えた場合、システムが能動的・計画的に注視点を変えたり、ズームアップすることの必要性と有効性が認識され始めている。例えば、複雑な形状をもつ物体を扱う場合、全体像だけでは得られない細かな部分の情報は、その部分をズームアップして得る必要がある。またハンドアイロボットでは、視覚によって操作する物体の位置・姿勢の認識、ハンド操作のビジュアルフィードバックと操作ミスの発見が重要な課題となるが、ハンドの作業内容によって注視点を計画的に変えなければならない。そこで、3次元情報を能動的に測定できるステレオカメラシステム-パタパタ-を開発した(図1)。本システムには、3台のテレビカメラに電動ズームレンズが取り付けられ、ズーム, フォーカス, アイリスの制御がコンピュータで制御可能となっている。各カメラはそれを支持する雲台にのり、輻輳制御が可能である。またこれら3台の雲台を支える支持台は別の雲台の上に掲載され、首振り(パン、チルト)制御が可能となっている。これらもコンピュータ制御される。この機能により、対象の形状、位置、移動に応じた柔軟性のあるステレオビジョンが可能となっている。基本的には2台のカメラで行なうが、3眼ステレオに対応できるように、3台をカメラ有している。[figure]
著者
植芝 俊夫 富田 文明
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.319-320, 1997-09-24
被引用文献数
1

異なる視点から得られた画像間でいくつかの点が対応づけられている場合, その三次元情報とカメラ運動を同時に復元する問題は, コンピュータビジョンの最も基本的な課題の一つであり, ステレオにおけるセルフキャリブレーションなど多くの応用が考えられる。カメラを透視投影に従うものとしてモデル化すると, この問題は一般に非線形最適化に帰着するため, その最適解の探索においては真値に十分近い初期値を与えることが重要である。従来のほとんどの手法は, 8点アルゴリズムを用いてカメラ運動パラメータの初期値を計算し, これを幾何学的制約を満たすように改善するという戦略をとっている。しかし, 8点アルゴリズムは観測された特徴点の位置誤差に対し極めて敏感で, しばしば真値とかけ離れた値を与えるため, 最適化の初期値としてすら使えないことがある。原点移動とスケーリングによって入力データを正規化して数値的不安定性を軽減する試みもあるが, 十分でない。これに対し, 本稿ではまずカメラをアフィン投影に従うものとして運動パラメータの初期値を求め, 次にこれを透視投影モデルに基づいて改善する手法を提案する。これによって, 8点アルゴリズムを用いて初期値を求める従来の手法に比べて, 画像中の特徴点の位置誤差に対するロバスト性が向上することを示す。