著者
植西 邦生 後藤 康一 岩佐 寧
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 = The Journal of the Association of Life Insurance Medicine of Japan (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.393-402, 2003-12-17
参考文献数
24
被引用文献数
2

1990年に我が国で初めて腹腔鏡による胆石の手術が実施されてから,現在では腹腔鏡による手術は胆嚢や胃などの腹部臓器のみならず,胸腔臓器や婦人科,整形外科,泌尿器科などの分野にも幅広く応用され,その実施件数は増加の一方をたどっている。それに比例して腹腔鏡下手術についての手術給付金請求も増加している。一方,我々が用いている手術給付金の支払基準は1987年改定のままであり,1992年の新手術適用ルールに従っても腹腔鏡下胆嚢摘出術に適用させるには手術給付金本来のねらいとは隔たりが大きい。最近,我々は,胆石の腹腔鏡下胆嚢摘出の手術給付金請求に接し,その給付基準を約款(特約)の手術給付倍率表のいずれに求めるかについて苦慮し,腹腔鏡下手術の発展,その手術を受ける患者数の増加という現状を受けて約款(特約)を整備すべき時期にきていると考えた。
著者
後藤 康一 植西 邦生 岩佐 寧
出版者
日本保険医学会
雑誌
日本保険医学会誌 (ISSN:0301262X)
巻号頁・発行日
vol.101, no.4, pp.419-430, 2003-12-17

第100回日本保険医学会定時総会が平成15年10月16日,17日の2日間に亘り東京都千代田区有楽町の有楽町朝日ホール(マリオン11階)にて行なわれた。第一日目の小林三世治会長による講演「わが国における保険医学研究」では今までの保険医学が歩んできた道筋と今後の展望が語られた。ついでAchim Regenauerミュンヘン再保険会社医長による特別講演では,ヨーロッパでの保険加入と遺伝子検査をめぐる状況と,保険医学に従事する者の果たす役割の重要性が報告された。今年のパネルディスカッションでは介護保険が取り上げられ,民間が行なう介護保険の展望が討論された。第二日目は,自社のデータに基づく研究報告や文献的考察,事例報告,提案など多様な12題の一般演題を挟んで,明治大学森宮教授は「医療リスクマネジメント〜わが国における方向性を求めて〜」と題する特別講演で,医療事故発生の原因,事故発生予防への視点,事故予防のシステム構築を説かれた。さらに,今年度は,16年ぶりに経験発生率調査ワーキンググループによる条件体についての死亡率研究報告も行なわれた。