著者
楊 韜 YANG Tao
出版者
名古屋大学大学院人文学研究科附属「アジアの中の日本文化」研究センター
雑誌
JunCture : 超域的日本文化研究 (ISSN:18844766)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.40-59, 2018-03-23

In the 1930’s of China, the so-called “Cartoon (漫画, Manhua)” was a very comprehensive concept, not only did it refer to “cartoon” and “comic”, but also “sketch” in the art field. For example, Ye qianyu (葉浅予, 1907–1995) successfully created the comic series Mr.Wang (王先生) and at the same time published two series of sketches, A Collection of Sketches by Qianyu (浅予速写集; 1936), and Sketches of Travels (旅行漫画; 1936). This thesis discusses the characteristics of this two series of sketches, by comparing these with another author’s sketches, and explores how Ye Qianyu established the art genre and concept of “Cartoon” in China.
著者
楊 韜
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.44-51, 2009-12-03

本稿では,中国におけるブログ文化の全体的状況及び,ブログと既存メディアとの関係を,統計データと事例分析の両方を通じて考察した。2007年末に,中国のブログ利用者数は,4698.2万人にのぼった。ブログの内容について,個人の感情や日常生活を記録するものが多いなか,社会現象などへの主張を表すものも少なくない。事例として,「紫禁城スターバックス事件」を取り上げ,新興メディアとしてのブログと既存メディアの関係を検討しうえ,中国におけるブログの特徴を考察した。〓成剛のブログ文章は,中国伝統文化の保護と外国商業資本との関係をめぐって議論を惹き起こした。外国メディアは,〓成剛の主張と中国政府の姿勢が一致していると強調しているけれども,『人民日報』の掲載文から異なる一面が見えたように,同じ社会現象に対するブログ(個人)と既存メディア(国家)の間でズレが生じた。このようなズレが生じた原因は個人による発信というブログの本質的な機能と中国の特殊なメディア環境の両方にある。また,公人/私人の境界の曖昧さが顕著となっている点は中国のブログの-特徴である。最後に,中国のブログにおける「エリートブログ」の主導傾向と「草の根ブログ」の弱体化という問題点に注目した。
著者
楊 韜
出版者
一般社団法人中国研究所
雑誌
中国研究月報 (ISSN:09104348)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.13-25, 2009-09-25

本稿は,1920年代半ばから1940年代初めまでに生活書店が発行した『生活』,『新生』,『生活星期刊』,『抗戦』,『大衆生活(新1-30号)』各誌の投書欄の記事を分析したうえ,その読者・投書者・編集者相互のやり取りについて考察した。雑誌と読者,編集者と読者,読者と読者(その中には,目が不自由な「間接的」読者をも含む)など,関係者相互の積極的な交流と参加は,このような投書欄を活気づけた。投書欄は,読者・投稿者・編集者の間のコミュニケーションを通して,互いの活発な議論と共有する経験をつくり上げると共に,問題解決へ向かう深い友情を育もうとする表現媒体である。投書欄においては,年齢も職業もそれぞれ違う様々な人々が,掲載された投書を読み,記事を投稿するという行為によって,互いに情報を提供したり,議論したりする誌上の「コミュニティー」を生み出した。