著者
川添 尭彬 楠本 哲次 土佐 淳一 更谷 啓治 田中 昌博
出版者
大阪歯科大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1989

前年度までに,咀嚼機能を診査・診断するにあたり,一般的に利用されている被験食品(チ-ズ,カマボコ,タクアン,ボンタンアメおよびスルメ)の機械的特性,すなわちテクスチャ-を定量化し,正常者における咀嚼機能との関連を明らかにした。今年度は,同じ被験食品を用いて,顎機能異常患者における嚥下閾までの咀嚼機能,特に嚥下までに要した咀嚼時間および咀嚼回数について分析を行い,正常者の結果と比較・検討した。その結果,1.顎機能異常患者では,どの被験食品でも正常者と比べて,嚥下までに要した咀嚼時間および咀嚼回数は増加していた。2.また,多変量解析を応用した統計処理の結果。顎機能異患者では,テクスチャ-のうち特にガム性の影響を咀嚼機能に強く与えていた。上記のことが明らかとなった。さらに,嚥下はできないが被験食品として一般的な市販ガム(ロッテ社製グリ-ンガム)について,チュ-イングによるガムのテクスチャ-の経時的変化を測定するとともに,正常者においてガムチュ-イング時におけるテクスチャ-の変化が咀嚼運動に及ぼす影響を分析し,以下の結果を得た。1.チュ-イングによってガムは,硬さだけが変化するものではなく,凝集性や粘着性などさまざまなテクスチャ-が,複雑に絡み合って変化していることが明らかとなり,その変化は,咀嚼運動にも大きく影響を及ぼすものであるため,以後,ガムを用いて咀嚼運動を分析する場合,どの時点でのデ-タであるのかを明確にするべきである。なお,詳細については,研究成果報告書を参照されたい。
著者
楠本 哲次 川添 堯彬 田中 昌博 高梨 芳彰 馬場 俊輔 木村 公一
出版者
大阪歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究では脳機能画像法を用いて咀嚼運動中の大脳皮質の賦活状態を捉えることとした.しかし,脳機能画像法では,頭部が振動を受けると脳の位置が動いてしまうと,データの信頼性が低下する可能性がある.この事も本研究の難易度を上げる原因となった.そこで我々は可能な限り実際の咀嚼運動を再現し,しかし脳機能画像法の妨げになりにくいTask方法として,咀嚼Taskを採用した.咀嚼Taskは右咬みタスク,左咬みタスクとした.各タスクは咬頭嵌合位にて上下顎の歯を軽く接触させ,タスク側の咬筋が等尺性収縮を起こさせるように指示し,咬みしめサイクルは1Hzとした,本Taskにより,実際の咀嚼運動に近いデータを得ることができたと考えている.本研究では咀嚼Taskにて大脳皮質が賦活する部位を検討している過程で,咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位が運動性言語野,言語優位半球との関連があるのではないかと考えた.そこで,我々はしりとりTaskを用いて被検者の言語優位半球を同定し,言語優位半球と咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位との関連を調べたところ,言語優位半球側に必ず咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位を認めた.よって,言語優位半球と咀嚼Taskによる大脳皮質賦活部位とは関連があることが明らかとなった.また本研究では脳磁図やfMRIでも使用可能な咬合力センサの開発を試みたが,実用化することは困難であった.実用化に向けて今後も改良を行う必要がある.