- 著者
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前川 厚子
安藤 詳子
神里 みどり
楠神 和男
新藤 勝久
田澤 賢次
門田 直美
- 出版者
- 名古屋大学
- 雑誌
- 基盤研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2002
「ストーマ保有者の生きる意欲とスキンケア行動にストーマ看護サービスが及ぼす影響」について当該3年間にわたり研究した。ストーマケアとそのリハビリテーションは医師からがんや炎症性腸疾患などの病名を告げられ、手術の説明を受けた時が始発であり、回復期、退院後の生活維持期、終末期までのライフスパンを含む。ストーマ保有者への聞き取り、患者会への参加観察と質問紙調査を通して課題を掘り下げ、以下を明らかにした。【成果の概要】1)ストーマ保有者の加齢に伴う課題:65歳以上の比率が60%を超え、生活課題は介護問題から緩和ケアまで拡大していた。虚弱・要介護状態にある高齢ストーマ保有者へのQOL保持、看看連携、訪問看護師と介護職の機能分担、ならびに終末期ケアの在宅基盤整備が重要であった。2)炎症性腸疾患によるストーマ保有者の課題:平成15年全国患者会調査で2,175名中285名(13.1%)、平均年齢39.8±12.9歳で性比1.6:1であった。手術創、ストーマ周囲と肛門周囲皮膚ケアのニーズは81%であった。人生の「生きがいなし」と答えたものが30%を占め、継続ケア提供時にはメンタルサポートが不可欠と考えられた。3)ストーマ保有者のライフサイクルと課題:多様な価値観と人生経験や生活背景について配慮をしながら個別的なケアを提供する必要がある。4)QOL課題:ストーマ造設に関連した治療の成績は向上し、5年無再発生存率は高くなってきたが、主観的な健康状態とストーマの局所状況はQOLと密接な関連を持つので、ケア困難時のマネジメントについては事例の集積と人的資源の整備が必要である。