著者
藤田 修 平石 久美子 藤埜 三千代 杉信 義人 竹内 正保 楢林 勇 長谷川 秀夫
出版者
公益社団法人日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術學會雜誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.1709-1715, 1994-10-01
被引用文献数
2

1)MRI用経口造影剤として具備しなければならない条件は第一にT_1強調画像, T_2強調画像双方に対し適正な信号強度の造影効果を有し, しかもその効果が安定して得られる事, 第二に異なる静磁場強度のMR装置に対して適正な造影効果が得られる事, 第三に経口毒性がなく安全で飲みやすい事などが揚げられるが, B・Jは本研究の範囲内においてこれらの条件をすべて満たしていた.2)T_1強調画像で理想的な陽性造影効果を示し, T_2強調画像で濃度の選択によっては, 陽性造影効果から陰性造影効果までの巾広い造影効果が得られる事が確認された.3)B・Jは天然果汁を用いているため美味しく, 香りもあり飲みやすく, 食品を用いたこれまでにない全く新しいタイプの造影剤として有用であると思われた.
著者
楢林 勇 辰 吉光 足立 至 西垣 洋
出版者
大阪医科大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

肺癌などの手術前にSPECTにより、肺内の部分的な換気、血流分布に関する部分的な情報を得ることは術後の残存肺機能の予測に重要である。また、手術不能肺癌で放射線治療、化学療法の治療計画に際し換気、血流不均等分布の病態の把握は対策を考える上で重要である。平成4年度は、主に安静時に前後対向同時2方向収集により検討し、平成5年度はSPECT収集にて検討し、方法論として比較した。運動負荷はトレッドミルを用いた。対象疾患は、肺癌、肺塞栓症、COPDなどであるが、運動負荷は正常、肺結核症、COPDであった。測定方法はシンチカメラにより、1門収集、対向2門収集、或いは3検出器型SPECT装置で4度ステップ、1方向30秒で90方向から冠状断における画像構成を行った。V/Q比ヒストグラムは左右肺それぞれの頻度分布を表した。このパターンは正常近似型、死腔様効果型、シャント型、混合型に分類できた。V/Qの正常域を0.67から1.50として、この範囲から外れた死腔様効果とシャント様効果領域の全体のカウント数に占める割合を算出した。40症例の前後対向2門同時収集によるデータをAaDO_2と比較すると、前面像ではr=0.684(P<0.05)、後面像ではr=0.654(P<0.05)となり、前後重ね合わせ像ではr=0.696(P<0.05)であった。一方、諸種肺疾患15例において、SPECT(冠状断)と前後対向2方向同時収集の両者施行した。それぞれのヒストグラムから算出したV/Qの両者の相関係数は0.888(P<0.001)と、良好な相関となった。前後対向2方向収集はSPECTに比し、大幅な検査時間の短縮が可能で、優れたV/Q比分布定量検査法と思われる。運動負荷を行った正常者では負荷の程度によって、V/Qの正常域が増加したが、COPDでは負荷によって異常域V/Qが増大した。運動負荷を行った肺結核症13例では、負荷直後と回復期でV/Q比分布に大きな差異を認めなかった。
著者
小倉 康晴 清水 雅史 上杉 康夫 難波 隆一郎 中田 和伸 雑賀 良典 芦名 謙介 松井 律夫 末吉 公三 楢林 勇
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1029-1035, 1994-12-20
被引用文献数
6

ヘリカルCTのデータから気管・気管支系の三次元立体表示を行い,最適な表示条件とその描出能について検討した.対象は気管支鏡およびヘリカルCTが施行された肺病変16例である.使用装置は東芝社製Xforceで,撮像条件はX線ビーム幅5mm,テーブル移動速度5mm/1.5秒,1回転1.5秒で連続20回転スキャンし,2mmピッチで横断像を画像再構成した.得られたデータから三次元表示ソフトウエアCEMAX-VIPstationを用いて気管・気管支を立体表示し,気管支鏡所見と対比検討した.気管・気管支の三次元表示には,CT値の抽出閾値-650HU〜-100HUが最も描出良好であった.また区域気管支まで気管支内腔の観察が可能であり,気管支内の腫瘤は内腔狭窄,壁肥厚として描出された.気管・気管支の三次元表示を観察することにより病変部の全体的な把握が容易となり,また気管支壁の外方からの観察も可能であることから気管支病変の解析により有用であると考えられた.