著者
茂木 弘之 宇佐見 衛 勝崎 裕隆 今井 邦雄 樋廻 博重 小宮 孝志
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.688-691, 2002-10-15 (Released:2010-03-08)
参考文献数
14
被引用文献数
5

15種の香辛料粉末の80%エタノール抽出物についてヒト白血病細胞の増殖抑制率を調べた。(1) タイム,ナツメグ,スターアニス,クローブ,トウガラシ,ターメリック,ジンジャー,ガーリック,シナモン,ブラックペーパー,オールスパイス,ローズマリー,セージ,ローレルの抽出物のうち200μg/mlの濃度で80%以上の細胞増殖抑制率を示したものはタイム,ナツメグ,クローブ,ターメリック,ジンジャー,シナモン,ブラックペーパー,ローズマリー,クミン,ローレルであった。これらの香辛料抽出物の50μg/ml濃度で細胞増殖抑制率が70%以上のものはナツメグ,ターメリック,シナモン,ブラックペーパー.ローズマリー,セージ,ローレルであった。香辛料抽出物の10μg/ml濃度でターメリックは100%,ローレルは95%の高い細胞増殖抑制率を示したのに対して,他のものはいずれも50%以下であった。(2) 細胞増殖抑制率の高かったターメリックとローレルの抽出物の作用機構としてDNA断片化が観察され,アポトーシス誘導によるものと推定した。
著者
茂木 弘之 宇佐見 衛 勝崎 裕隆 今井 邦雄 樋廻 博重 小宮 孝志
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.688-691, 2002-10-15
被引用文献数
5

15種の香辛料粉末の80%<B>エタノール</B>抽出物についてヒト白血病細胞の増殖抑制率を調べた。<BR>(1)<B> タイム,ナツメグ,スターアニス,クローブ,トウガラシ,ターメリック,ジンジャー,ガーリック,シナモン,ブラックペーパー,オールスパイス,ローズマリー,セージ,ローレル</B>の抽出物のうち200<B>μ</B>g/mlの濃度で80%以上の細胞増殖抑制率を示したものは<B>タイム,ナツメグ,クローブ,ターメリック,ジンジャー,シナモン,ブラックペーパー,ローズマリー,クミン,ローレル</B>であった。これらの香辛料抽出物の50<B>μ</B>g/ml濃度で細胞増殖抑制率が70%以上のものは<B>ナツメグ,ターメリック,シナモン,ブラックペーパー.ローズマリー,セージ,ローレル</B>であった。香辛料抽出物の10<B>μ</B>g/ml濃度で<B>ターメリック</B>は100%,<B>ローレル</B>は95%の高い細胞増殖抑制率を示したのに対して,他のものはいずれも50%以下であった。<BR>(2) 細胞増殖抑制率の高かった<B>ターメリック</B>と<B>ローレル</B>の抽出物の作用機構としてDNA断片化が観察され,<B>アポトーシス</B>誘導によるものと推定した。
著者
伊藤 智宏 伊藤 裕子 水谷 峰雄 藤城 克久 古市 幸生 小宮 孝志 樋廻 博重
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.339-344, 2002-05-15
被引用文献数
1 15

アズキ熱水抽出物(アズキ煮汁)の抗腫瘍活性及びその作用機構の一つであるアポトーシス誘導について検討を行った.<BR>アズキ熱水抽出物をDIAION HP-20で処理した後,蒸留水,40%エタノール,60%エタノール,80%エタノールと順に溶出溶媒を切り換え,各溶出画分を得た.これらの溶出画分を用いてヒト胃癌細胞(KATO III cells)の形態学的変化,増殖抑制作用及びアポトーシス誘導により生じるDNAフラグメントの検出を行った.その結果,40%エタノール溶出画分に小球状のアポトーシス小体が観察され,さらにアポトーシス誘導により生じるDNAの断片化を示した.<BR>また,40%エタノール溶出画分によるアポトーシス誘導についてDNA断片化の濃度及び培養時間依存性に関して検討した.その結果,アポトーシス誘導は濃度及び培養時間依存的であることが判明した.また,40%エタノール溶出画分によるヒト正常細胞に対する影響は観察されなかった.以上より,40%エタノール溶出物による抗腫瘍活性機構にはアポトーシス誘導が関与していることが示唆された.
著者
伊藤 智広 伊藤 裕子 樋廻 博重 勝崎 裕隆 今井 邦雄 古市 幸生 小宮 孝志
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.7, pp.319-323, 2005-07-15
被引用文献数
1 5

アズキ熱水抽出物からヒト胃ガン細胞KATO III細胞の増殖を抑制する物質を単離した. 本物質をFT-IR, <sup>1</sup>H-NMR, <sup>13</sup>C-NMR, DEPT, COSY, NOE, HSQC, HMBC, ESI-MS, APCI-MSにより構造解析したところ, 新規セスキテルペノイド配糖体であったことから, Vignosideと命名した. Vignosideは低濃度ではヒト胃ガン細胞KATO III細胞の増殖を抑制しないが, 750μMでは約60%の増殖抑制効果を示した. その増殖抑制機構はアポトーシスによるものではないことが判った.
著者
伊藤 智広 伊藤 裕子 樋廻 博重 勝崎 裕隆 今井 邦雄 古市 幸生 小宮 孝志
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 : Nippon eiy◆U014D◆ shokury◆U014D◆ gakkaishi = Journal of Japanese Society of Nutrition and Food Science (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.281-287, 2005-10-10
被引用文献数
1 6

これまでに我々は, アズキ熱水抽出物がヒト胃がん細胞にアポトーシス誘導を誘発させることやベンゾピレンにより化学発がんさせたマウスに本抽出物を摂取させることで, がんの増殖を抑制することを報告した。本研究では, さらにこの抽出物を水-メタノール系ODSカラムクロマトグラフィーに供し, その後, アポトーシス誘導物質を分取HPLCにより分離・精製した。アポトーシス誘導物質は質量分析, <sup>1</sup>H-, <sup>13</sup>C-NMRなどから, カテキン-<i>O</i>-7-β-グルコピラノシド (C7G) と同定された。C7Gは培養ヒト胃がんKATO III細胞だけでなく, ヒト白血病細胞HL-60にもアポトーシス誘導を誘発したが, 正常細胞には影響がなかった。このC7GによるDNAの断片化は, <i>N</i>-Acetyl-L-cysteine により抑えられた。以上の結果から, C7Gによるアポトーシス誘導には活性酸素が関与しているのではないかと推測される。
著者
伊藤 智広 伊藤 裕子 水谷 峰雄 藤城 克久 古市 幸生 小宮 孝志 樋廻 博重
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.339-344, 2002-05-15 (Released:2010-01-20)
参考文献数
24
被引用文献数
3 15

アズキ熱水抽出物(アズキ煮汁)の抗腫瘍活性及びその作用機構の一つであるアポトーシス誘導について検討を行った.アズキ熱水抽出物をDIAION HP-20で処理した後,蒸留水,40%エタノール,60%エタノール,80%エタノールと順に溶出溶媒を切り換え,各溶出画分を得た.これらの溶出画分を用いてヒト胃癌細胞(KATO III cells)の形態学的変化,増殖抑制作用及びアポトーシス誘導により生じるDNAフラグメントの検出を行った.その結果,40%エタノール溶出画分に小球状のアポトーシス小体が観察され,さらにアポトーシス誘導により生じるDNAの断片化を示した.また,40%エタノール溶出画分によるアポトーシス誘導についてDNA断片化の濃度及び培養時間依存性に関して検討した.その結果,アポトーシス誘導は濃度及び培養時間依存的であることが判明した.また,40%エタノール溶出画分によるヒト正常細胞に対する影響は観察されなかった.以上より,40%エタノール溶出物による抗腫瘍活性機構にはアポトーシス誘導が関与していることが示唆された.