著者
玉川 隆生 林 摩耶 樋田 久美子 米川 裕子 深澤 正之 安部 洋一郎
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.41-44, 2016 (Released:2016-03-06)
参考文献数
9

腹部片頭痛は国際頭痛分類で小児片頭痛に分類されており,小児に発症することが多い疾患である.成人例も報告されているが,症例数が少ないためあまり認知されていない.そのため,診断や治療に難渋することがある.今回われわれは,国際頭痛分類の診断基準に準じて腹部片頭痛と診断し,発作痛に対してトリプタン・インドメタシンが著効して,バルプロ酸が発作予防に効果的であった成人例を経験した.成人腹部片頭痛はまれな疾患ではあるが,その症状は特異的で小児腹部片頭痛の診断基準を用い,発作に関する問診,他疾患の否定により診断が可能な疾患である.また,その治療は片頭痛の治療に準じて行うことで効果が期待できると考える.
著者
境 徹也 樋田 久美子 原 哲也
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.35, no.7, pp.819-823, 2015-11-14 (Released:2015-12-04)
参考文献数
9

患者は71歳の男性.4年前,腰部脊柱管狭窄症による左腰下肢痛に対して,椎弓切除術を受けて痛みは軽快した.その後,痛みが再発したため,当科を受診した.痛みはL5およびS1神経根痛であり,硬膜外ブロックと神経根ブロックの効果は一時的であったため,硬膜外腔内視鏡を行った.L5-S1椎間レベルで癒着があり,左L5椎間孔付近では高度であった.慎重に癒着剥離および局所麻酔薬とステロイド注入を行い,痛みは軽減した.その後の6年間で,下肢の神経根痛の増強時に硬膜外腔内視鏡の繰り返し施行を計6回行った.痛みの軽減も初回と同様に得られ,合併症も起こっていない.
著者
北島 美有紀 境 徹也 樋田 久美子 澄川 耕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.491-493, 2010-09-25 (Released:2010-10-06)
参考文献数
12

明らかな原因を発見できない口腔内灼熱感のうち,痛みが舌に限られるものが舌痛症と定義されている.心理的要因が関与しているとされるが,発症の原因は不明である.今回,漢方薬の抑肝散加陳皮半夏(エキス製剤7.5 g中に半夏5 g,蒼朮4 g,茯苓4 g,川きゅう3 g,釣藤鈎3 g,陳皮3 g,当帰3 g,柴胡2 g,甘草1.5 gを含む)により痛みが軽減した舌痛症の1症例を報告する.患者は82歳の男性で,4年前に脳梗塞を発症し,その約1年後から舌の痛みが出現した.歯科で口腔内の器質的障害は否定されていた.脳梗塞の後遺症で歩行障害があり,患者はいらいら感や胃部不快感を訴えていた.また,舌に何か異常があるのではないかという不安を持っていた.漢方的診察により得られた証に随って,抑肝散加陳皮半夏7.5 g/日を開始した.内服開始7日後には,痛みの程度は数値評価スケールで8/10から4/10に軽減し,範囲も半減した.患者の証に沿った漢方薬の選択が,難治であった舌痛の緩和に繋がった.
著者
樋田 久美子 境 徹也 北島 美有紀 澄川 耕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.52-54, 2011 (Released:2011-06-04)
参考文献数
6

電撃傷は,体に電気が通り,筋や神経の障害が生じる病態であり,労働災害が原因となることが少なくない.われわれは就労中に感電し,左腕の痛みと筋力低下を生じたが,疾病利得が影響し,症状が誇張されたと思われる症例を報告する.56歳の男性で,溶接作業中に左指から感電し,受傷翌日,当院に入院した.左上肢の強い痛み,筋力低下,関節可動域制限を訴えていたが,病棟では左上肢を支障なく動かしており,補償の獲得を示唆する発言があった.患者に退院を勧めたが,患者は激しい痛みを訴えて入院継続を強く求め,当院に16日間入院した後,他院に転院し,2カ月間入院を継続した.症状を誇張する背景に疾病利得の影響が考えられた.
著者
樋田 久美子 境 徹也 北島 美有紀 澄川 耕二
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
The journal of the Japan Society of Pain Clinicians = 日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.52-54, 2011-05-25
参考文献数
6

電撃傷は,体に電気が通り,筋や神経の障害が生じる病態であり,労働災害が原因となることが少なくない.われわれは就労中に感電し,左腕の痛みと筋力低下を生じたが,疾病利得が影響し,症状が誇張されたと思われる症例を報告する.56歳の男性で,溶接作業中に左指から感電し,受傷翌日,当院に入院した.左上肢の強い痛み,筋力低下,関節可動域制限を訴えていたが,病棟では左上肢を支障なく動かしており,補償の獲得を示唆する発言があった.患者に退院を勧めたが,患者は激しい痛みを訴えて入院継続を強く求め,当院に16日間入院した後,他院に転院し,2カ月間入院を継続した.症状を誇張する背景に疾病利得の影響が考えられた.