著者
権 永詞
出版者
The Kantoh Sociological Society
雑誌
年報社会学論集 (ISSN:09194363)
巻号頁・発行日
vol.2010, no.23, pp.47-58, 2010-08-30 (Released:2015-06-12)
参考文献数
35

This study aims to shed light on the hidden dependence inherent in the process of “reflexive ageing” a style of ageing peculiar to the present society that forces people to be subjective and independent. Even in old age, when people need to depend on others, they want to be independent, only to fail. Through revealing mechanism in which people forget their own dependence, the author explores a new type of the relationship between the self and others.
著者
権 永詞
出版者
日本社会学理論学会
雑誌
現代社会学理論研究 (ISSN:18817467)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.76-88, 2011 (Released:2020-03-09)

本稿は、多様性の保護と画一化の促進というモダンデザインの二面性についての理解を援用することで、「生活の形」の創造としてのライフデザインの現代的な意味を考察している。1960年代に普遍的価値として追求された「生活の質」は、70年代中頃からは個人による「自己実現」を意味するようになる。既存の「良い生活」を示す定型は失われ、個人は「生活の形」を自ら探し求めなければならなくなる。 そこで必要とされたのがライフデザインという概念である。ライフデザインは、一方では個人を集団規範から解放して多様性を促進するが、他方では人々の生活を社会指標によって画一化・細分化された生活の部品の構築物へと変容させる。ライフデザインのこの二面性は、前者は集団からの解放という意味で、後者は断片化された人生を操作する主体の確立という意味で、個人の「自立」を規範化する。 だが、個人を「自立」へと駆り立てる規範としてのライフデザインは、個人の責任を過剰に追及するあまり現存する社会的不平等を個人のライフデザイン能力に帰してしまう危険性がある。そこには、ライフデザイン能力自体における不平等を問題化する視線が欠けている。本稿では、以上の課題を乗り越えるために個人史に着目したライフデザインの方法論の転換を示唆する。