著者
横山 和輝
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3-4, pp.25-41, 2011-03-01

律令制が形骸化し,荘園公領制が形成されるとともに貨幣経済が進展し,14世紀までには交換手段として貨幣が普及していた.この貨幣経済の初期段階において,米価ならびに地価は低下傾向にあった.貨幣経済が進展するなか,貨幣価値が上昇することで,貨幣保有者の交渉力が増大し,売り手の提示価格に対する引下げ効果が生じたのである.
著者
服部 恵 横山 和輝
出版者
名古屋市立大学経済学会
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.105-117, 2010-03

本稿の課題は,貨幣鋳造政策の実施を通じて旗本・御家人の実質所得が引上げられるという効果が統計的に確認できるかどうかを,1791年から1854 年までの年次データを用いて,検証することである.実証においては,Yamamura(1974)の推計による旗本・御家人の実質所得指数,および明石(1989)の推計による実質貨幣流通量を用いる.旗本・御家人の実質所得は,明確な下方トレンドをとっていないことから,必ずしも彼らの窮乏化を示すものではないが,貨幣鋳造政策が,旗本・御家人の実質所得に正の影響を与えるという効果は観察できない.実質所得は負の自己相関をとり,なおかつマネーサプライの増大により負の影響を受けつつ推移していた.そのため旗本・御家人は,債務者として,進展しつつある貨幣経済に取り込まれつつ消費水準の円滑化を図った.
著者
藤本 真代 横山 和輝
雑誌
オイコノミカ (ISSN:03891364)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.1-15, 2016-03-01

本稿の課題は,家族の絆に関する変数(合計特殊出生率,離婚率,婚姻率,自然死産率)が男女別の自殺率にどのような影響を与えているかについて統計的に検定することである.2001 年から2013 年の都道府県レベルのパネルデータを用いて,男女それぞれの自殺率を被説明変数とする連立方程式の同時推定を行なう.合計特殊出生率と婚姻率は,ともに男女の自殺率と負の相関関係にある.反対に自然死産率は男女の自殺率と正の相関関係にある.一方,離婚率は女性の自殺率にのみ負の効果が観察された.自殺抑止において家庭およびビジネス両面での対人関係が重要である,という主張に対し,本稿は定量的な根拠を提示するものである.
著者
横山和輝著
出版者
東洋経済新報社
巻号頁・発行日
2018