著者
横山 耕治 川上 裕司 陰地 義樹 久米田 裕子 高橋 治男
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.143-149, 2008 (Released:2008-10-07)
参考文献数
20
被引用文献数
2 2

Aspergillus section Nigri によるオクラトキシンの産生性や産生菌の分離頻度,分布に関する日本における報告はなく,Aspergillus section Nigri の詳細な分類に基づく調査研究が必要となった.山梨で行った調査の結果,A. niger チトクロームb 遺伝子に基づくDNA タイプAN-D-5, AN-D-7 の菌は,ほとんどはオクラトキシンを産生しないが一部の株でわずかながら産生が見られた.DNA タイプAN-D-4 のA. carbonarius は,オクラトキシン産生の主要な株で,産生量が多く産生株がほとんどではあるが,一部の株では同じ培養条件で産生が認められなかった.ぶどう園土壌および空中浮遊の菌は,ほとんどが,DNA タイプAN-D-1, AN-D-2 のA. japonicus とAN-D-5, AN-D-7 のA. niger であり,DNA タイプAN-D-4 のA. carbonarius は,土壌分離株129 株中1 株であり分離頻度は非常に低かった.収穫後の管理を適正に行えば,食品への汚染は極めて少ないと考えられる.
著者
橋本 ルイコ 浅野 勝佳 渡嘉敷 唯章 陰地 義樹 廣瀬(安元) 美奈 高良 亮 豊里 哲也 吉野 敦 池端 真美 劉 瑩 久米田 裕子 横山 耕治 髙橋 治男
出版者
日本マイコトキシン学会
雑誌
マイコトキシン (ISSN:02851466)
巻号頁・発行日
vol.63, no.2, pp.179-186, 2013-07-31 (Released:2013-12-10)
参考文献数
19
被引用文献数
4 6

最も普遍的に存在するカビのひとつ,A. niger にマイコトキシンの産生性が発見され,食品工業上重要な役割を担う A. niger や沖縄で泡盛の醸造に伝統的に用いられてきた黒麹菌の安全性が問題視されている. また,A. niger とその近縁種である黒麹菌は形態的に類別することは困難であることから,ミトコンドリアチトクローム b DNA 遺伝子などを用いて分子遺伝学的に解析し,これらの菌を正確に分類するとともに,マイコトキシン産生性との関係を明らかにすることによって黒麹菌など実用株の安全性についての検証を行った.