- 著者
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樫原 理恵
長谷川 智子
- 出版者
- 一般社団法人 日本看護管理学会
- 雑誌
- 日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, no.2, pp.126-134, 2011 (Released:2018-12-28)
- 参考文献数
- 22
- 被引用文献数
-
3
看護師の所属する組織文化の認識が,看護師の定着-離職行動に及ぼす影響を明らかにすることを目的に,北陸3県に立地する400床未満の同意を得られた14病院に勤務する看護師(看護師・保健師・助産師・准看護師を含む)585名に自記式質問紙法により調査を実施した.調査内容は個人属性,定着可能度,組織文化の認識とした.配布数585名のうち回収数475名(回収率81.1%),有効回答数464名(有効回答率79.3%)であった.定着可能度分類による定着可能タイプⅠ群[定着可能群]326名(70.2%)Ⅱ群[定着不安定群]81名(17.5%),Ⅲ群[定着不可能群]57名(12.3%)であった.定着可能度分類と看護師の属性をみると,個人属性と定着可能度別に違いは認められなかった.[定着可能群]は[定着不安定群],[定着不可能群]と比較してそれぞれ組織文化の認識の平均点が高く,組織文化を肯定的に捉える傾向があることが分かった.北陸地区の中小規模病院において,定着を促進するためには仲間意識を持てない看護師,個人能力を尊重してほしいと考える看護師,専門的な科学的根拠や情報分析能力を自己に求めている看護師に対して対策を講じる必要があることが示唆された.また,地域住民の生活に密着した医療が求められる中小規模病院において,どのような専門性を発揮する必要があるのかについて,組織全体として明確にしておくことが看護師の定着を促進すると推察された.