著者
清水 隆裕 入江 拓
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin School of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.26, pp.59-68, 2018-03-31

聖隷学園浜松衛生短期大学の教育理念には「人の生命は傷つき、病み、死ぬべき弱い存在である。自分と他人とが共有しているこの弱さの自覚と共感と互助こそ、人間理解と愛と感動の基本であって、それが看護の源泉である」と謳われていた。短期大学からクリストファー大学となり、その教育理念は建学の精神である「生命の尊厳と隣人愛」に包含される形になったが、弱さを人間観の根底に据えた教育理念は他大学と一線を画している。そこで弱さの自覚がなぜ看護の源泉になるのか考察した結果、弱さという自己の「不完全性」を認めることは、苦悩へと繋がるがそれを受け入れた先に、ケア者としての真の思いやりが醸成される。また弱さを受け入れることができれば、ケア者と病者が人間としての弱さを抱える者同士としての開かれた地平にあることができ、そこでの真の出会いと、静かな連帯によって「双方の可能性を開く」という意味が含まれていると考えられた。
著者
井上 菜穂美 西尾 里美 小野田 弓恵 水島 史乃 雲丹亀 美加
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin School of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
no.27, pp.21-29, 2019-03-31

専門看護師(CNS:Certified Nurse Specialist、以下CNS とする) 制度は日本看護協会が1994 年から開始した制度である。本学にはがん看護学、老年看護学、慢性看護学、急性看護学、小児看護学領域にCNS 教育課程が設けられ、さらに2019 年度には在宅看護学領域にも開設を予定している。本学では大学院修了生に対する支援体制を整備するために、2010 年からがん看護学領域の修了生を中心として「聖隷がん看護事例検討会」を立ち上げ、現在は他領域の修了生やCNS を含めた「聖隷CNS 事例検討会」として活動している。本稿では、事例検討会の活動概要、参加者による事例検討会の評価について報告する。今後の事例検討会の発展に向けて、看護学研究科教員への参加依頼、修了生や在学生への働きかけ、事例提供者および参加者の負担軽減策の検討、修了生と教員との連携強化が必要であると考えられる。
著者
豊島 由樹子 鶴田 恵子 長峰 伸治 熊澤 武志 鈴木 知代 酒井 昌子 樫原 理恵 野崎 玲子 黒野 智子 宮谷 恵 小平 朋江 藤浪 千種 清水 隆裕 藤本 栄子
雑誌
聖隷クリストファー大学看護学部紀要 = Bulletin School of Nursing Seirei Christopher University
巻号頁・発行日
vol.27, pp.1-10, 2019-03-31

本稿は、本学看護学部の2019 年度教育課程改定における活動内容の概要を記した。2012 年に教育課程変更を行って5年が経過したことや、教育職員免許法の改正により養護教諭課程の再課程認定に伴い、2019 年度に向けて看護学部教育課程の改定を行うことになった。2017 年度からカリキュラム検討委員会を中心に教育課程の検討を行い、2年間に渡って教育課程改定に向けて活動した内容をまとめた。2019 年度新教育課程としては、地域包括ケアシステムの推進に基づく社会の変遷にあわせた教育課程へと発展させるための学修内容の追加、本学の強みである充実した実習環境をもとに行われている臨地看護学実習を通して「生命の尊厳と隣人愛」に基づく教育理念を継続的に意識づけられるような教育課程を策定することができた。指定規則改正に伴う次の教育課程の改定に向けて、今回のプロセスが参考となることを期待する。