著者
兒玉 憲人 﨑山 佑介 小迫 拓矢 武井 藍 中村 友紀 橋口 昭大 道園 久美子 松浦 英治 中根 俊成 髙嶋 博
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.107, no.1, pp.95-102, 2018-01-10 (Released:2019-01-10)
参考文献数
10

42歳,男性.全身の発汗低下を主訴に受診した.起立性低血圧や頻尿を伴い,広汎な自律神経障害が示唆された.皮膚生検で汗腺及び血管周囲にリンパ球浸潤を認め,抗ganglionicアセチルコリン受容体抗体陽性が判明した.通常,同抗体は自己免疫性自律神経節障害(autoimmune autonomic ganglionopathy:AAG)の原因となるが,汗腺への直接作用は明らかでない.本症例には汗腺と自律神経節障害の両者の特徴が混在し,ステロイド治療が有効であった.
著者
浜田 恭輔 武井 藍 﨑山 佑介 森山 宏遠 橋口 昭大 髙嶋 博
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.30-34, 2018 (Released:2018-01-26)
参考文献数
15
被引用文献数
3

症例は43歳男性である.緩徐に進行する構音障害と歩行失調,幼児退行などの精神症状,脳幹・小脳の萎縮性所見より脊髄小脳変性症が疑われ入院した.口内炎,陰部潰瘍,毛囊炎様皮疹,HLA-B51をみとめ,髄液IL-6高値より慢性進行型神経ベーチェット病と診断した.ステロイド,メトトレキサートの治療効果に乏しく,インフリキシマブで髄液IL-6の減少が得られたが症状は改善しなかった.本症例は広範に不可逆性の脳組織障害が生じた難治例と考えられた.脳幹の萎縮が進行する前に免疫治療を介入すべき疾患であり,精神症状と運動失調症がみられる症例では診断に有用である髄液IL-6を測定することが望ましい.