著者
橋本 政子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D1(景観・デザイン) (ISSN:21856524)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.108-115, 2015 (Released:2015-10-20)
参考文献数
28
被引用文献数
1

高速自動車国道法に基づく日本初の高速道路である名神高速道路が開通してから半世紀となる.名神高速道路の計画整備に際して「美しい道路を造る」ことが基本方針に掲げられた.日本道路公団初代総裁岸道三による発意を機に策定されたとする基本方針は「特殊設計審議委員会」の設置とともに推進されることとなった.中でも都市計画・造園・建築・地理等各分野の専門家によって構成された「審美委員会」の活動は,美しい道路づくりに寄与したと評されている.本研究では,高速道路黎明期の計画整備における岸道三と「審美委員会」による美しい道路づくりへの取り組みの全体像と設計思想の特徴を明らかにし,その後の景観設計への影響について考察を行うことを目的としている.
著者
橋本 政子
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集D2(土木史) (ISSN:21856532)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.43-52, 2014 (Released:2014-11-20)
参考文献数
43

哈大道路は,満洲国において計画整備されたハルビン(哈爾濱)-大連間を結ぶ約1,000kmの高速道路である.本研究は,哈大道路の計画整備の経緯及び計画内容の特徴を明らかにするとともに,高速道路計画史における意義について考察することを目的としている.研究の結果,以下3点を導出した.1) 1938年から1945年にわたって推進された哈大道路の計画整備の経緯を明らかにした.2) 哈大道路は,戦前に日本人技術者らが計画整備を推進した最初期の高速道路事業として位置づけられる.3) 哈大道路の設計思想には,同時代に先行整備されていたアウトバーンと共通する内容が確認された.哈大道路は,日本人技術者によって計画整備された本格的アウトバーンとしての先駆をなすものであったといえる.