著者
守屋 宣 櫟 粛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.86, no.5, pp.301-317, 2003-05-01
参考文献数
10
被引用文献数
2

本論文では,莫大な数のエージェント動作し,それらのエージェントが頻繁に生成,消滅するようなインターネットエージェントシステムの耐故障アルゴリズムを考察する.本論文では,エージェントシステムへスナップショットアルゴリズムを適用することを考える.スナップショットアルゴリズムとは,分散システム全体の状況(スナップショット)を求めるアルゴリズムである.特に,Chandyらのスナップショットアルゴリズム[2]は,効率の良さ,手続きの単純さから代表的なスナップショットアルゴリズムになっている.しかし,Chandyらのスナップショットアルゴリズムを莫大な数のエージェントが動作する分散エージェントシステムへ適用することは実用的ではない.そこで,本論文では,Chandyらのアルゴリズムのアイデアを拡張し,メッセージ交換やエージェント生成などを通じて因果関係をもつエージェント間でスナップショットをとるサブスナップショットアルゴリズムを提案する.更に,サブスナップショットアルゴリズムによってとられたスナップショットを利用した効率的なロールバックアルゴリズムを提案する.スナップショットを利用した一般的なロールバックアルゴリズムでは一部のエージェントのみがロールバックすればよい.
著者
酒井 隆道 寺田 賢二 櫟 粛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.958-968, 2005-05-01

近年, オンライン評判メカニズムが着目されている.既にそれは広く適用が進んでおり, その有効性も確認されつつある.しかし, その信頼性に関してはいまだ確固たる保証は得られていない.オンライン評判メカニズムは評価のエラーやノイズ, あるいは不正な嘘の評価申告という外乱に対して頑強である必要がある.更に, 人間が介在しないマルチエージェント環境においては悪意のあるエージェント, あるいはその集団による不正な評価申告による外乱(攻撃)の影響はより甚大なものとなり得る.既存のオンライン評判メカニズムは必ずしもそのような外乱を十分に考慮しているわけではない.そこで, 本論文では確率的近似法を用いた頑強なオンライン評判メカニズムを提案する.本メカニズムはエージェントの大域的な信用性を表す信用度を各エージェントごとに割り当て, その推定値をエージェント間の相互評価の申告に基づいて動的に更新する.シミュレーション実験により, 本メカニズムは外乱のある状況下においても良いエージェントと悪いエージェントを効果的に特定できること, 更に真の信用度の変化に対しても適応的に対応できることが確認できた.