著者
加藤 準治 谷地 大舜 西澤 峻祐 高瀬 慎介 寺田 賢二郎 京谷 孝史
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2016, pp.20160001, 2016-01-18 (Released:2016-01-18)
参考文献数
41

本研究は, 超惰性体二相複合材料を対象に, 分離型マルチスケール解析法を活用してミクロとマクロ構造の両方のトポロジーを同時に最適化する「マルチスケールトポロジー最適化手法」の提案を行うものである. ここでは, 使用材料体積量一定のもとマクロ構造のエンドコンプライアンス最小化を目的関数として定義した. マルチスケールトポロジー最適化は, 材料挙動が複雑な先端材料の設計に有用であるとして, 現在様々な分野で着目されている手法である. しかし, このようなマルチスケール解析を活用したトポロジー最適化は, 実際に生じる非線形の力学挙動を考慮すると, 計算コストが大きくなり, さらに目的関数の設計変数に対する感度の導出が複雑なることから, ほとんどの研究では線形弾性体を仮定した単純な問題のみを扱ってきた. そこで, 本研究ではこの現状を打破すべく, 二相複合材料の超弾性体を対象としたマルチスケールトポロジー最適化手法の確立に挑戦するものである. この問題を解くために, 当該研究では二変数境界値問題の局所化解析を活用した新しい感度解析法を構築した. これにより, ミクロ‐マクロ構造ともに最適な「理想的な構造物」の設計が可能となる. 最後にいくつかの数値シミュレーションによって本手法の妥当性を検証した.
著者
酒井 隆道 寺田 賢二 櫟 粛之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-I, 情報・システム, I-情報処理 (ISSN:09151915)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.958-968, 2005-05-01

近年, オンライン評判メカニズムが着目されている.既にそれは広く適用が進んでおり, その有効性も確認されつつある.しかし, その信頼性に関してはいまだ確固たる保証は得られていない.オンライン評判メカニズムは評価のエラーやノイズ, あるいは不正な嘘の評価申告という外乱に対して頑強である必要がある.更に, 人間が介在しないマルチエージェント環境においては悪意のあるエージェント, あるいはその集団による不正な評価申告による外乱(攻撃)の影響はより甚大なものとなり得る.既存のオンライン評判メカニズムは必ずしもそのような外乱を十分に考慮しているわけではない.そこで, 本論文では確率的近似法を用いた頑強なオンライン評判メカニズムを提案する.本メカニズムはエージェントの大域的な信用性を表す信用度を各エージェントごとに割り当て, その推定値をエージェント間の相互評価の申告に基づいて動的に更新する.シミュレーション実験により, 本メカニズムは外乱のある状況下においても良いエージェントと悪いエージェントを効果的に特定できること, 更に真の信用度の変化に対しても適応的に対応できることが確認できた.
著者
鷹見 凌 染宮 聖人 平山 紀夫 山本 晃司 松原 成志朗 石橋 慶輝 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本複合材料学会
雑誌
日本複合材料学会誌 (ISSN:03852563)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.32-39, 2022-01-15 (Released:2023-02-10)
参考文献数
26

When analyzing the fracture behavior of unidirectional carbon fiber-reinforced polymer (CFRP), it is important to consider the interfacial strength between the reinforcing fiber and the base resin, and the strength of the base resin. Therefore, the adhesiveness of the base material and the compatibility with the sizing material and fibers are important design parameters in the development of CFRPs. However, a quantitative method for estimating the interfacial strength and the strength of the base resin has not been established. In this study, we propose a method to evaluate the interface strength of unidirectional CFRPs by creating learning data through a series of numerical material tests and by constructing a neural network that outputs the interface strength based on a homogenization method from the results of off-axis tensile tests. We adopt a general feed forward neural network whereby parameters are learned by employing a backpropagation method. The interfacial strength and the matrix resin strength is predicted and evaluated from the results of the off-axis tensile test to demonstrate the effectiveness of this system.
著者
車谷 麻緒 寺田 賢二郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A2(応用力学) (ISSN:21854661)
巻号頁・発行日
vol.68, no.2, pp.I_129-I_138, 2012 (Released:2014-01-31)
参考文献数
16

This paper focuses on approximation properties for strong/weak discontinuities in the PU-based finite element methods. The extended finite element method (X-FEM), which is one of the PU-based FEM, enables us to approximate the discontinuous deformation due to crack/interface with the enrichment functions. In contrast, the finite cover method (FCM), which is also one of the PU-based FEM, is capable of representing discontinuous behavior by defining the multiple sets of finite covers (elements) instead of using the enrichment functions. We examine the properties and the effects of these different PU-based approximations for strong/weak discontinuities in this paper. Section 2 shows two types of approximations of strong/weak discontinuities in the PU-based FEM by taking X-FEM and FCM for instance, and explains the equivalence of them. Several numerical examples are presented to examine the analysis accuracy and effi ciency for structures involving a line crack, a branched crack and a material interface in Section 3.
著者
韓 霽珂 西 紳之介 高田 賢治 村松 眞由 大宮 正毅 小川 賢介 生出 佳 小林 卓哉 村田 真伸 森口 周二 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2020, pp.20200005, 2020-04-15 (Released:2020-04-15)
参考文献数
36

近年,亀裂・進展の解析手法の一つとして,phase-field破壊モデルが注目を集めている.phase-field脆性破壊モデルは既に多くの実績が報告されている一方で,延性材料を適切に表現するphase-field破壊モデルは発展途上である.phase-field破壊モデルにおいて,拡散き裂の幅を表す正則化パラメータは破壊開始の制御に用いられ,これが大きいほど破壊開始が早くなる.これは正則化パラメータが大きい場合には,その分だけき裂近似領域も大きくなるため,1に近いphase-fieldパラメータの分布も拡大し,それに応じて荷重--変位関係のピーク値が小さくなることが原因として考えられる.本研究では,正則化パラメータの性質を考慮し,通常は定数として扱われる正則化パラメータの代わりに,蓄積塑性ひずみの大きさに応じて変化する可変正則化パラメータを提案する.これにより,塑性域と正則化パラメータによって規定されるき裂周辺の損傷域が関連づけられ,塑性変形の影響を考慮した損傷の計算が可能となる.提案モデルの表現性能を調査するためにいくつかの解析を行った.可変正則化パラメータの導入により,塑性変形の進行とともにき裂周辺の損傷域が大きくなる傾向が捉えられ,弾性域から塑性域を経てき裂に発展するといった遷移過程に特徴づけられる延性破壊を表現できることを確認した.ベンチマーク問題の解析等の数値解析を通して,き裂の進展方向を適切に予測できること,および可変正則化パラメータを介して延性の制御が可能になることを例示した.また,金属供試体を用いた実験の再現解析では,実験結果と整合する結果が得られることも確認した.
著者
岩崎 敦 横尾 真 寺田 賢二
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, no.4, pp.334-342, 2004 (Released:2004-05-28)
参考文献数
14
被引用文献数
1

This paper develops a new ascending-price multi-unit auction protocol that has following characteristics: (i) it has an open format, (ii) sincere bidding is an equilibrium strategy even if the marginal utilities of each agent can increase and agents can submit false-name bids. False-name bids are bids submitted under fictitious names such as multiple e-mail addresses, which can be done easily in the Internet. This is the first protocol that has these two characteristics. We show that our new protocol outperforms an existing protocol, which satisfies (ii), with respect to the social surplus and the seller's revenue.
著者
波多野 僚 松原 成志朗 森口 周二 寺田 賢二郎
出版者
一般社団法人 日本計算工学会
雑誌
日本計算工学会論文集 (ISSN:13478826)
巻号頁・発行日
vol.2019, pp.20190015, 2019-11-22 (Released:2019-11-22)
参考文献数
47

本研究は,超弾性複合材料に対するデータ駆動型ミクロ・マクロ連成マルチスケール解析手法を提案する.本提案手法におけるオフライン計算プロセスでは,まず十分な数のマクロ変形勾配を入力として,周期的な代表体積要素(ユニットセル)に対する数値材料試験を実施し,ミクロ応力場のデータベースを作成する.そして,得られたミクロ応力場のデータベースに固有直交分解(POD)を適用することで,データベースの主成分と対応する基底ベクトルを抽出する.さらに,オンライン計算プロセスでFE 2 タイプの連成型マルチスケール解析を実現するために,基底ベクトルを線形結合する際の係数を放射基底関数によって内挿補間し,クロスバリデーションとベイズ最適化を活用したL2正規化によって連続関数を平滑化する.このようにして得られた関数は,ミクロ応力場の「データ駆動型関数」と呼ばれ,均質化法の平均化プロセスによってマクロ応力を算出する際に使用可能である.本提案手法の性能は,代表的な数値計算例に対して,直接的にFE 2 を実施した結果と比較することによって例証する.
著者
源栄 正人 大野 晋 佐藤 健 寺田 賢二郎 篠澤 洋太郎
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本成果報告書は、平成18年度と平成19年度の2ヵ年の研究成果もまとめたものである。内容的には、緊急地震速報と構造物のモニタリングとの連動により付加価値を高め、更なる信頼性の向上と実用性の向上を計るためのシステム開発を行ったものである。主な研究項目として、(1)構造物の耐震モニタリング機能と連動した警報システムの開発、(2)地域の地盤環境を考慮した地震動予測精度の向上、(3)病院における実証試験による有効利用の検討、(4)学校における実証試験による有効利用の検討を行った。(1)については、建物のモニタリングのための常時作動している地震観測(オンライン地震観測)システムを設置し、この地震計による現地地震情報と、緊急地震速報の両方を連動したシステムの開発を行い、東北大学工学研科の人間・環境系建物および宮城県沖地震の際に地震波到来の早い石巻市牡鹿総合支所庁舎(旧鮎川町役場)で実証試験を行った。(2)については、仙台市域の表層地盤構造と深部地盤構造のデータベースの構築を行うとともに、牡鹿総合支所で観測された記録のP波の立ち上がり部の波形からニューラルネットワークを用いて仙台市域の地震動を高精度に予測する方法を検討した。(3)については、東北大学病院における緊急地震速報の利活用について、同病院においてアンケート調査を実施するとともに、ニーズに基づく利活用システムの提案を行った。(4)については、教育モードとして組み入れるべく素材に関する調査を行なうとともに、地域で予測される被害モードを想定した災害シミュレーションを動画の作成と活用法を検討した。学校における緊急地震速報の利活用の啓蒙と教育現場におけるニーズ調査のために宮城県域と首都圏の649校を対象としたアンケート調査を実施した。