著者
三島 健 櫻井 英俊 野下浩平
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2006論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.136-142, 2006-11-10

ゲームHexは、先手必勝手順の存在が証明されているが、具体的な必勝手順を示すことは長年の研究課題である。本稿では、石の連結性を定義するための新しい概念として、δ連結を提案し、それに基づいて、連結に関与する領域を拡張するための新しい技法δ拡張を導入する。この技法の応用として、従来の技法で記述するには複雑すぎるとされていた8×8盤面の初手63 に対する必勝手順を示す。また、この技法の強力さを示す例として、8×8盤面の初手54 に対する野下の必勝手順(2005)を大幅に簡単化する。同様にして、9×9 盤面に対する必勝手順を示すことができるが、本稿ではその証明木を示す(現在細部のチェック中)。
著者
三島 健 櫻井 英俊 吉元 昭裕 野下浩平
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.4007-4015, 2008-12-15

ゲームHexでは,具体的な必勝手順を求めるために,様々な数学的技法が提案されている.8×8や9×9など大きい盤面に対する必勝手順を導くためには,これらの技法に基づいたシステムで人間とコンピュータの共同作業ができるものを実装する必要がある.本稿では,与えられた局面に対してユニオン連結性を判定するプログラムAとBを提示する.プログラムAは局面表を用いたAND-OR探索に基づくものであり,Hex特有の着手選択アルゴリズムにより強化した.プログラムBは,さらに仮想準連結などを組み込んで改良したものである.これらのプログラムは,実行時間と探索節点について評価する.ベンチマーク問題として,Noshitaによる7×7と8×8の必勝手順に現れる約40種類の難しい問題を選んだ.我々の実験結果によると,これらの局面の正しさは,非常に速く検証できた.このことは,我々のプログラムが実用に使えるということを意味する.着手選択(順序付けと先行排除)は,人間の熟練者と同程度に正確であると評価できる.本稿の実験結果をみると,我々のプログラムは,8×8以上の必勝手順の検証・発見のための対話システムを開発する際に最も基本的な道具として使えることが分かる.
著者
池谷 真 ALEV CANTAS 太田 章 櫻井 英俊 森実 飛鳥 佐藤 貴彦
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

将来の再生医療や創薬研究に資する安全な間葉系幹細胞をiPS細胞から効率的に得る方法を確立するため、異なる3つの細胞系譜(神経堤細胞と神経細胞と中胚葉細胞)を経由して間葉系幹細胞を誘導するゼノフリーの方法の開発を行った。また、同一ロットの細胞を大量に得るため、中間段階の細胞の拡大培養・凍結保存法の開発を試みた。誘導された間葉系幹細胞の品質は、骨・軟骨・脂肪への分化能で比較・評価した。神経堤細胞と中胚葉細胞を経由した分化誘導法の確立に成功し、神経細胞を経由した分化誘導法の確立には一部成功した。拡大培養については神経細胞について成功し、神経堤細胞、中胚葉細胞、間葉系幹細胞については一部成功した。