著者
三島 健一 入江 圭一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.193-204, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)
参考文献数
36
被引用文献数
1 1

Cannabis contains over 700 known cannabinoids, terpenoids, flavonoids, and so on; however, the roles and importance of these components have yet to be fully understood. Δ9-Tetrahydrocannabinol (THC) is believed the most psychoactive component in cannabis, whereas cannabidiol (CBD), cannabinol, and cannabigerol are the most well-known non-psychoactive components. THC, but not CBD, has been shown to produce abnormal behavior in animals; these effects are caused, at least in part, by binding to cannabinoid receptor type 1 (CB1) in the brain. Regarding the risks associated with cannabis use, acute effects of THC, such as a “high”, cognitive deficits, and irritability, are considered more important than potential dependence. On the other hand, CBD has shown anticonvulsant, anti-inflammatory, immunosuppressive, analgesic, and anticancer effects. However, CBD has very low affinity (in the micromolar range) for the CB1 receptor, as well as for the CB2 receptor, and its underlying mechanism remains obscure. In this review, we demonstrate that THC induces abnormal behavior such as catalepsy-like immobilization, spatial memory impairment, and high and low sensitivity to ultrasonic vocalization after an aversive air-puff stimulus. Moreover, we demonstrate that THC and CBD improve brain injury in middle cerebral artery occlusion in a mouse model through different mechanisms. These findings suggest the need to discuss the recent development of “THC and CBD pharmacology” in animal studies, as well as the utility and risk of various cannabis components in humans.
著者
江頭 伸昭 三島 健一 岩崎 克典 中西 博 大石 了三 藤原 道弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.1, pp.3-7, 2009 (Released:2009-07-14)
参考文献数
47
被引用文献数
1

アルギニンバソプレシン(AVP)は古くから下垂体後葉ホルモンとして体液および循環系の恒常性の維持に重要な役割を果たしていることが知られている.AVPの受容体は,V1a,V1bおよびV2受容体の3つのサブタイプに分類されており,特にV1aおよびV1b受容体は大脳皮質や海馬など脳内に広く分布していることから,中枢における役割が注目されている.そこで本稿では,V1aおよびV1b受容体欠損マウスを用いた著者らの研究成果を紹介するとともに,精神機能におけるバソプレシン受容体の役割に関する最近の知見について報告する.バソプレシン受容体は,統合失調症,自閉症,うつ病,不安障害,摂食障害など様々な精神疾患との関与を示唆する知見が多数報告されており,その影響にはストレス反応の変化が一部関わっていることが推察される.また,V1aおよびV1b受容体欠損マウスを用いた検討から,バソプレシン受容体がストレスや情動行動,社会的行動,情報処理,空間学習などに関与していることが明らかとなった.一方,V1aおよびV1b受容体の選択的な拮抗薬の精神作用についても報告されている.今後,これらの研究結果を踏まえて,精神機能におけるバソプレシン受容体の役割が解明されれば,精神疾患の予防および治療のための戦略に新たな展開が期待できるものと考えられる.
著者
三島 健 櫻井 英俊 野下浩平
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2006論文集
巻号頁・発行日
vol.2006, pp.136-142, 2006-11-10

ゲームHexは、先手必勝手順の存在が証明されているが、具体的な必勝手順を示すことは長年の研究課題である。本稿では、石の連結性を定義するための新しい概念として、δ連結を提案し、それに基づいて、連結に関与する領域を拡張するための新しい技法δ拡張を導入する。この技法の応用として、従来の技法で記述するには複雑すぎるとされていた8×8盤面の初手63 に対する必勝手順を示す。また、この技法の強力さを示す例として、8×8盤面の初手54 に対する野下の必勝手順(2005)を大幅に簡単化する。同様にして、9×9 盤面に対する必勝手順を示すことができるが、本稿ではその証明木を示す(現在細部のチェック中)。
著者
窪田 香織 野上 愛 高崎 浩太郎 桂林 秀太郎 三島 健一 藤原 道弘 岩崎 克典
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.110-114, 2014
被引用文献数
1

我が国は超高齢社会を迎え,認知症患者数の増加は深刻な問題である.しかし認知症の根治的治療法は確立しておらず,患者の日常生活動作(activity of daily living:ADL)を低下させない新しい認知症治療薬が求められている.その中で,ADLを低下させずに認知症の症状を改善する漢方薬・抑肝散が脚光を浴び,主に幻覚,妄想,抑うつ,攻撃行動,徘徊などの行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に使われている.しかし,その作用機序はよく分かっていない.そこで漢方薬である抑肝散の認知症治療薬としての科学的背景を明らかにすることが必要となった.我々は,抑肝散がメタンフェタミン投与による興奮モデル動物において自発運動の異常増加を抑制すること,単独隔離ストレスによる攻撃行動,幻覚モデルとしてのDOI投与による首振り運動,不安様行動,ペントバルビタール誘発睡眠の短縮や夜間徘徊モデルの明期の行動量増加のようなBPSD様の異常行動を有意に抑制することを明らかにした.また,8方向放射状迷路課題において,認知症モデル動物の空間記憶障害を改善することを見出した.記憶保持に重要な海馬において神経細胞死の抑制やアセチルコリン遊離作用が認められ,これらの作用によって抑肝散の中核症状に対する改善効果も期待できることが示唆された.さらに,中核症状,BPSDいずれにもNGFやBDNFなどの神経栄養因子の関与が注目されているが,抑肝散には神経栄養因子様作用や神経栄養因子増加作用があることが分かり,この作用も中核症状・BPSDの改善効果に寄与するものと考えられる.以上のことから,抑肝散は,認知症患者のBPSDならびに中核症状にも有効で,さらに他の神経変性疾患や精神神経疾患の治療薬としても応用が期待できることが示唆された.
著者
岡部 恒治 三島 健稔 鈴木 俊夫 西村 和雄 西森 敏之
出版者
埼玉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、日本に伝わる和算・そろばんにある、イメージを利用し、直感的に理解させる思考法を用いて、数学が苦手な学生・生徒にわかりやすく理解させるための方策の研究である。この研究に基づいて、小学生向きの自学自習教科書を実際に作成した。その目覚しい成果は産経新聞、読売新聞、フジテレビなどでも紹介された。また、代表者の岡部は、この成果を用いてお台場のパナソニック・センターに18年8月に開設された「RiSuPia」の数学関連の展示コンテンツの監修をした。三島は教材の電子化に関して多大な貢献をした。このRiSuPiaは、数学に関しての本格的な体験的施設としては、現在本邦唯一のものである。このリスーピアも、NHKはじめ各テレビ局や新開でも大きく報道された。ここでは、和算・そろばんの果たした意義やその思考法を来場者自ら体験してもらうようにもなっている。
著者
三島 健 櫻井 英俊 吉元 昭裕 野下浩平
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.49, no.12, pp.4007-4015, 2008-12-15

ゲームHexでは,具体的な必勝手順を求めるために,様々な数学的技法が提案されている.8×8や9×9など大きい盤面に対する必勝手順を導くためには,これらの技法に基づいたシステムで人間とコンピュータの共同作業ができるものを実装する必要がある.本稿では,与えられた局面に対してユニオン連結性を判定するプログラムAとBを提示する.プログラムAは局面表を用いたAND-OR探索に基づくものであり,Hex特有の着手選択アルゴリズムにより強化した.プログラムBは,さらに仮想準連結などを組み込んで改良したものである.これらのプログラムは,実行時間と探索節点について評価する.ベンチマーク問題として,Noshitaによる7×7と8×8の必勝手順に現れる約40種類の難しい問題を選んだ.我々の実験結果によると,これらの局面の正しさは,非常に速く検証できた.このことは,我々のプログラムが実用に使えるということを意味する.着手選択(順序付けと先行排除)は,人間の熟練者と同程度に正確であると評価できる.本稿の実験結果をみると,我々のプログラムは,8×8以上の必勝手順の検証・発見のための対話システムを開発する際に最も基本的な道具として使えることが分かる.
著者
中野 貴文 中村 智美 仲村 佳彦 入江 圭一 佐藤 啓介 松尾 宏一 今給黎 修 緒方 憲太郎 三島 健一 神村 英利
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.137, no.7, pp.909-916, 2017-07-01 (Released:2017-07-01)
参考文献数
34
被引用文献数
3 4

Warfarin (WF) shows a number of interactions with other drugs, which alter its anticoagulant effects. The albumin binding interaction is one such pharmacokinetic mechanism of drug interaction with WF, which induces a rise in the free WF concentration and thus increases the risk of WF toxicity. Teicoplanin (TEIC) is an anti-methicillin-resistant Staphylococcus aureus drug, which also binds strongly to albumin in the plasma. Therefore, co-administration of TEIC may displace WF from the albumin binding site, and possibly result in a toxicity. The present study was performed to investigate the drug-drug interaction between WF and TEIC in comparison with controls treated with vancomycin (VCM), which has the same spectrum of activity as TEIC but a lower albumin binding ratio.The records of 49 patients treated with WF and TEIC or VCM at Fukuoka University Hospital between 2010 and 2015 were retrospectively reviewed. These 49 patients consisted of 18 treated with TEIC in combination with WF, while 31 received VCM in combination with WF. Prothrombin time-international normalized ratio (PT-INR) showed a significant increase of 80.9 (52.0-155.3) % after co-administration of TEIC with WF. In contrast, the rate of PT-INR elevation associated with VCM plus WF was 30.6 (4.5-44.1) %. These observations suggested that TEIC can cause a rise in free WF concentration by albumin binding interaction. Therefore, careful monitoring of PT-INR elevation is necessary in patients receiving WF plus TEIC.
著者
岩崎 克典 高崎 浩太郎 野上 愛 窪田 香織 桂林 秀太郎 三島 健一 藤原 道弘
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.66-70, 2012 (Released:2012-08-10)
参考文献数
14
被引用文献数
3 5

漢方薬である抑肝散(よくかんさん)は,アルツハイマー病の周辺症状(BPSD)にしばしば使われる.しかし,その薬理学的特性は未だ明らかにされていない.漢方を認知症の補完・代替医療として考える場合には,その薬理学的な背景を明らかにすることが肝要である.そこで,我々は抑肝散が,妄想・興奮モデルとしてのメタンフェタミンによる自発運動量の異常増加を抑制すること,幻覚モデルとしての5-HT2A受容体アゴニストであるDOI投与による首振り行動,高架式十字迷路および明暗箱課題を用いた不安行動,夜間徘徊の指標となる明暗サイクルにおける明期の自発運動量の増加をそれぞれ有意に抑制することを明らかにし,認知症患者のBPSDに有効である可能性を示した.さらに8方向放射状迷路課題において,抑肝散が空間記憶障害の改善作用を示すこと,さらにこの作用は記憶に関わる海馬ACh神経終末からのACh遊離の促進を介することを見出し,抑肝散の中核症状への応用の可能性を提案した.次に,これらの作用が抑肝散の構成生薬のうちどれに由来するかを検討した.その結果,抑肝散を構成する7種の生薬のうちBPSDに対しては釣藤鈎(ちょうとうこう)の5-HT2A受容体を介した作用が,また,中核症状に対しては当帰(とうき)のACh神経系を介した作用がその役割を担っている可能性が示唆された.以上のことから,抑肝散はアルツハイマー病患者のBPSDのみならず中核症状にも有効で,補完・代替医療において西洋薬に替わる治療薬として有用であることが示唆された.
著者
重松 幹二 大賀 祥治 正本 博士 三島 健一 亀井 一郎
出版者
福岡大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

菌糸体から水可溶性のβ-グルカンを抽出するために、マキネッタ抽出器の適用を検討した。その結果、漢方薬として用いられるブクリョウや各種食用キノコから効率良くβ-グルカンを抽出することができた。また、カンゾウからグリチルリチン酸、オウレンやオウバクからベルベリン、樹木樹皮からタンニンを抽出することもできた。これら抽出液の活性は高く、特にブナシメジからのβ-グルカンは高い抗腫瘍活性を有していた。
著者
藤原 靖宏 中辻 真 塩川 浩昭 三島 健 鬼塚 真
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.473-478, 2015-03-01 (Released:2015-02-03)
参考文献数
6

In AI communities, many applications utilize PageRank. To obtain high PageRank score nodes, the original approach iteratively computes the PageRank score of each node until convergence from the whole graph. If the graph is large, this approach is infeasible due to its high computational cost. The goal of this study is to find top-k PageRank score nodes efficiently for a given graph without sacrificing accuracy. Our solution, F-Rank, is based on two ideas: (1) It iteratively estimates lower/upper bounds of PageRank scores, and (2) It constructs subgraphs in each iteration by pruning unnecessary nodes and edges to identify top-k nodes. Experiments show that F-Rank finds top-k nodes much faster than the original approach.
著者
三島 健 藤井 雅雄 藤原 靖宏 鬼塚 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. DC, ディペンダブルコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.113, no.170, pp.9-14, 2013-07-25

ビジネスで使われる代表的なDBMSにおいてトランザクションログをディスクに強制書き込みする事でrecoverabilityを保証するというアーキテクチャは今までほとんど変わっていない.しかし,コンピュータとネットワークはこの数十年で大きく進歩したため,ディスク書き込みオーバヘッドは深刻なボトルネックになってしまった.本論文では, Daigoと呼ぶ新しいDBMSクラスタを提案しその有効性をベンチマークで評価する. Daigoはトランザクションログをディスクに強制書き込みすることをやめて,代わりに複数ノードにデータベースを冗長に配置することでrecoverabilityを保証する. TPC-Wベンチマークを使った性能評価では, Daigoは他の代表的な既存クラスタに比べて高い性能を実現できただけでなく,オーバロード環境下でもサービスにほとんど影響を与えること無く構成変更できることが分かった.
著者
窪田 香織 野上 愛 高崎 浩太郎 桂林 秀太郎 三島 健一 藤原 道弘 岩崎 克典
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.143, no.3, pp.110-114, 2014 (Released:2014-03-10)
参考文献数
17
被引用文献数
1

我が国は超高齢社会を迎え,認知症患者数の増加は深刻な問題である.しかし認知症の根治的治療法は確立しておらず,患者の日常生活動作(activity of daily living:ADL)を低下させない新しい認知症治療薬が求められている.その中で,ADLを低下させずに認知症の症状を改善する漢方薬・抑肝散が脚光を浴び,主に幻覚,妄想,抑うつ,攻撃行動,徘徊などの行動・心理症状(behavioral and psychological symptoms of dementia:BPSD)に使われている.しかし,その作用機序はよく分かっていない.そこで漢方薬である抑肝散の認知症治療薬としての科学的背景を明らかにすることが必要となった.我々は,抑肝散がメタンフェタミン投与による興奮モデル動物において自発運動の異常増加を抑制すること,単独隔離ストレスによる攻撃行動,幻覚モデルとしてのDOI投与による首振り運動,不安様行動,ペントバルビタール誘発睡眠の短縮や夜間徘徊モデルの明期の行動量増加のようなBPSD様の異常行動を有意に抑制することを明らかにした.また,8方向放射状迷路課題において,認知症モデル動物の空間記憶障害を改善することを見出した.記憶保持に重要な海馬において神経細胞死の抑制やアセチルコリン遊離作用が認められ,これらの作用によって抑肝散の中核症状に対する改善効果も期待できることが示唆された.さらに,中核症状,BPSDいずれにもNGFやBDNFなどの神経栄養因子の関与が注目されているが,抑肝散には神経栄養因子様作用や神経栄養因子増加作用があることが分かり,この作用も中核症状・BPSDの改善効果に寄与するものと考えられる.以上のことから,抑肝散は,認知症患者のBPSDならびに中核症状にも有効で,さらに他の神経変性疾患や精神神経疾患の治療薬としても応用が期待できることが示唆された.
著者
秋山 一男 三上 理一郎 可部 順三郎 江頭 洋祐 岩田 猛邦 田口 善夫 赤木 克巳 竹山 博泰 羽間 収治 浜野 三吾 河田 兼光 信太 隆夫 三島 健 長谷川 真紀 前田 裕二 永井 一成 工藤 宏一郎 佐野 靖之 荒井 康男 柳川 洋 須藤 守夫 坂東 武志 平賀 洋明 上田 暢男 宮城 征四郎 中村 晋
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.727-738, 1992
被引用文献数
15

我が国における成人気管支喘息の実態を, 主として患者へのアンケートを中心に調査し, 小児発症群と成人発症群及び成人再発群の3群に分類しその比較を試みた. 1) 成人喘息に占めるそれぞれの頻度は小児発症群11.1%, 成人発症群77.3%, その他11.6% (成人再発群3.7%及び不明) であった. 2) 成人喘息に占める小児発症群は年齢と共に激減し, 一方成人発症群は年齢と共に増加し50歳以後では90%以上を占めた. 3) 小児発症群では男, アトピー型, アレルギー疾患既往・合併症, 軽症例, 夜間外来受診歴, 発作時O_2吸入・人工呼吸歴の頻度が成人発症群に比べて有意に高く, 他方成人発症群では感染型, 薬剤常用者, ステロイド常用者, 重症, アスピリン過敏症の頻度が小児発症群に比べて高かった. 4) 成人再発群は小児発症群と成人発症群との中間に位置する群と考えられた. 5) 以上より発症年齢を基準とする分類法が現時点で臨床上分類が容易かつ曖昧さが少ない点より, 成人にみられる気管支喘息を小児発症喘息・成人発症喘息・成人再発喘息の3群に分類する新しい分類法を提唱した. この分類は今後成人喘息の病因・病態の解明に有用と考える.