著者
櫻井 靖久 サクライ ヤスヒサ
雑誌
立教大学日本文学
巻号頁・発行日
vol.109, pp.163-169, 2013-01-30 (Released:2013-03-12)
著者
櫻井 靖久
出版者
日本神経心理学会
雑誌
神経心理学 (ISSN:09111085)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.2-8, 2018-03-25 (Released:2018-04-28)
参考文献数
35

近年の画像解析の進歩により,復唱・聴覚理解に従来の弓状束を経由し,音韻→構音変換を担当する背側路以外に,上側頭回から鉤状束を経由して音韻・意味処理を担当する腹側路が注目されている.読み・読解には別の2重回路が提唱されており,筆者らは視覚野から上側頭回後部に達し,書記素・音韻変換を行う背側路と視覚野から後下側頭皮質に達し,語形認知を行う腹側路を提唱した.また書き取りの2重回路として,聴覚野から出発し,弓状束を経由して前頭葉に向かい,文字列の音韻処理を行う音韻経路と後下側頭皮質から出発して,頭頂葉を経由して前頭葉の手の領域に入る形態路を想定した.これらの2重回路説は,神経画像解析技術の進歩とともに,その妥当性が検討されるべきであろう.

1 0 0 0 OA 読み書き障害

著者
櫻井 靖久
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.197-201, 2022-06-30 (Released:2022-08-30)
参考文献数
23

後天性読み書き障害について, 認知心理学的な分類と病巣研究に基づいた神経解剖学的な分類を整理して紹介した。認知心理学では, 失読を中心性 (視覚認知から意味, 音声にアクセスする段階での障害) と周辺性 (単語の視覚認知レベルの障害) に分け, 中心性失読はさらに音韻性失読, 表層性失読, 深層性失読に分けられる。失書も同様に, 中心性 (語彙, 音韻処理にかかわる過程での障害) と周辺性 (視覚・運動覚イメージを書字運動に変換する段階での障害) に分けられ, 中心性 (言語性ともいわれる) 失書は音韻性失書, 語彙性失書, 深層性失書に, 周辺性 (運動性ともいわれる) 失書は失行性失書, 異書性失書にそれぞれ分けられる。神経解剖学的分類では, まず純粋失読, 失読失書, 純粋失書に分け, それぞれが細分類されている。   さらに選択的音読み障害と意味性認知症にみられる訓読みに顕著な読み障害に関する筆者らの最近の研究を紹介した。これらの事実は, 音読みにかかわる経路と訓読みにかかわる経路が独立した二重回路をなすことを示唆している。
著者
櫻井 靖久
出版者
一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
雑誌
高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.25-32, 2010-03-31 (Released:2011-05-11)
参考文献数
34
被引用文献数
7 3

これまでに明らかにされた病巣局在の結果に基づいて,孤立性失読・失書の新しい神経学的分類を提唱した。従来の分類との違いは以下の通りである。(1) 非古典型純粋失読は紡錘状回型と後頭葉後下部型に分けられる。紡錘状回型は漢字に著明な純粋失読,より一般的には単語の純粋失読,後頭葉後下部型は仮名の純粋失読,より一般的には文字の純粋失読と特徴づけられる。(2) 側頭葉後下部型の失読失書の病巣は紡錘状回中部・下側頭回(37 野)である。これより内側の病変(37 野)で紡錘状回型純粋失読が起こり,この背外側の病変(中側頭回後部,21/37 野)で漢字の純粋失書が起こる。(3) 角回性失読失書の病巣は角回だけでなくその後方の外側後頭回を含む。角回のみの病変では純粋失書になる。