1 0 0 0 OA 嚢胞性髄膜腫

著者
元持 雅男 牧田 泰正 鍋島 祥男 板垣 徹也 鄭 台項 欅 篤
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.282-288, 1983 (Released:2006-11-10)
参考文献数
51
被引用文献数
5 5

Cystic meningiomas are rare. The authors presented a case of cystic meningioma in the right frontal convexity of a 36-year-old female. The patient was admitted because of progressive headache, foggy sight, diplopia, and left-sided motor weakness of two months' duration. The preoperative diagnosis of cystic meningioma was made by plain skull X-rays, CT scans, and cerebral arteriograms. At surgery, a tumor was found adherent to the dura in the right frontal convexity with multiloculated intratumoral cysts containing xanthochromic fluid. Histologically, the tumor was a transitional meningioma with intratumoral infarction in the vicinity of the cysts. The pathogenesis of the intratumoral cysts in this particular case were considered intratumoral infarction resulting in microcysts and then finally macrocysts. Ninety-six cases of cystic meningiomas reported in the literature were reviewed and the pathogenesis of cyst formation was discussed. Nauta's classification of four types of cystic meningiomas is important when considering the different pathogenesis of cyst formation in meningiomas. Adding to the four types of cystic meningiomas classified by Nauta et al., the authors suggested another type, namely, the subdural cyst mainly seen in infant meningiomas.
著者
廣瀬 綾 山下 真人 欅 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-149_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【症例紹介】 今回、妊娠後期に両大腿骨萎縮症を疑われる骨密度低下を呈し、転倒により両側大腿骨頸部骨折を受傷した症例に対し理学療法を行った。症例は30歳代女性で2か月ほど前より両股関節痛あり、X日転倒され両側大腿骨頸部骨折を受傷し、妊娠30週目だったが胎児に問題はなかった。X+4日胎児心拍数陣痛図(以下CTG)にて定期的な持続的張りを認めリトドリン内服開始。X+5日張りが治まらず、持続点滴開始。X+6日腰椎麻酔にて観血的骨接合術施行。X+7日理学療法開始。X+35日張りは落ち着いており頸管長短縮も認めなかったため、持続点滴終了し内服へ変更。X+45日選択的帝王切開術施行。X+48日3分の1荷重開始。X+54日全荷重開始。X+60日回復期病院へ転院となった。【評価とリーズニング】 理学療法開始時の安静度は整形外科としては両下肢免荷、産婦人科としては制限無いが切迫症状に注意する必要があった。初回介入時端座位まで行ったが、下肢下垂にて大腿前面の伸張痛が強く、それに伴い息こらえが出現し腹部の張りにつながる様子が見られた。関節可動域は股関節屈曲40/60°、外転15/20°、膝関節屈曲30/60°、伸展0/0°。伸張痛の原因は両大腿部の腫脹に加え、安静時より両大腿四頭筋・大腿筋膜張筋の過緊張を認めていたことが影響していると推測した。 強い疼痛が持続すると切迫症状増悪につながる可能性もあるため、リスク管理として毎日助産師にて測定されるCTGの結果を確認後に理学療法介入し、介入中も張りの自覚症状のみでなく、触診にて張りの有無を確認しながら運動療法を実施した。 また、ベッド臥床期間が長くなっていることや今後への不安から精神的に不安定になっており、全身状態は安定していたため医師・助産師と相談の上、まずは離床機会を確保し活動範囲を広げることで全身調整および抑鬱状態の予防を図っていくことを目標とした。【介入と結果】 初回介入後、両大腿四頭筋・大腿筋膜張筋の過緊張緩和目的に、ベッド臥床時のポジショニングを検討し助産師とも共有した。X+9日より並行移動にてリクライング車椅子乗車開始し、同時に関節可動域運動や筋力増強運動を開始。初めは下肢完全伸展位、リクライング30°程度で乗車していたが、日を重ねるごとに疼痛軽減したため、徐々に車椅子のリクライング角度を上げ、下肢下垂していき、X+20日垂直座位で30分以上経過しても疼痛増強や腹部の張りを認めなくなり、翌日より普通型車椅子乗車開始。X+23日スライディングボードを用いて1人介助にて車椅子移乗可能となり、理学療法実施時以外も助産師や家族と離床機会を確保できるよう指導した。 帝王切開後は翌日より車椅子乗車再開し、3分の1荷重許可後よりティルトテーブル40°設定にて荷重開始し、疼痛出現なく可能。全荷重開始後も起立・歩行練習時に両股関節痛は無いものの、歩行距離延長に伴い両膝関節痛・足関節痛を認めたため、疼痛増悪のないよう慎重に評価しながら行った。また、並行して育児参加できるような環境設定や動作確認・指導、産後ケアとして腹式呼吸や骨盤底筋運動、骨盤ベルトの装着方法などの指導も行った。病棟内は車椅子移動にて概ねADL自立、松葉杖歩行見守りで30ⅿ程度可能な状態で回復期病院へ転院となった。 出産前よりベッド上や車椅子でできることは増えADL向上につながっていたが、歩行獲得に向けての不安や出産・育児への不安により、精神的に不安定になる場面も認めた。そのため、助産師とともに傾聴する時間は確保するようにし、聴取した内容はカルテまたはカンファレンスの中で共有することで不安軽減に努めていった。【結論】 本症例では入院後定期的な子宮収縮を認めるようになり、術前より切迫早産として治療が開始されていた。しかし、助産師と協力してリスク管理を行いながら介入したことで、切迫症状増悪なく手術翌日よりスムーズに離床を進めることができたと考える。また、妊娠中や出産後は抑鬱状態になるリスクが高いという報告もあり、本症例ではその時期に骨折や手術といったストレス因子が加わったことでさらにリスクが高い状態になっていたと考える。そのため精神面も考慮しながら術後早期より安静度に応じて離床を進め活動範囲の拡大を図り、出産後は助産師と協力しながら可能な限り育児参加できるよう関わった。そのことで荷重・歩行練習などに対するモチベーション維持にもつながったのではないかと考える。【倫理的配慮,説明と同意】本症例報告においては対象者に向けて、ヘルシンキ条約に基づいて口頭での説明と同意を得た。
著者
村川 佳太 上原 光司 重留 美咲 米田 哲也 欅 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C-92_1, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】 近年、介護予防分野や老年医学分野では「フレイル」が注目されている。フレイルは大きく3つに分類され、身体的フレイル、精神・心理的フレイル、社会的フレイルがある。フレイルの原因とされている老化は氷山の一角に過ぎず、その背景に潜む因子との関係を明らかにすることが、介護予防対策を進めるうえで重要となる。フレイルの第一段階とされているのが、社会的孤立などの社会的フレイルであり、今回、当院初期もの忘れ外来における社会的孤立の発現率、社会的孤立者の歩行能力について検討する。 【方法】 2012 年7 月から2016年6月の間に、当院初期もの忘れ外来を初回受診された187名(男性79名、平均年齢77.4歳±5.3)。社会的孤立を日本語版LSNS-6にて評価し、12点未満を孤立群、12点以上を非孤立群とした。評価項目は性別、年齢、世帯、BMI、転倒歴、運動習慣、診断名、10m歩行、TUG、MMSE、LSAとし比較。さらに、目的変数を孤立群、非孤立群とした単変量ロジスティック回帰分析を行い、p<0.1であった、運動習慣、10m歩行、TUG、LSAを説明変数として多変量解析を実施した。なお、10m歩行、TUG、LSAにおいては中央値で2値に分類した。 【結果】 社会孤立発現率は32%(60/187)であった。なお、診断時、正常加齢とされた者の孤立者は0%であり、統計解析の対象からは除外した。孤立群と非孤立群の2群比較では10m歩行(p<0.005)、TUG(p<0.05)、LSA(p<0.005)、運動習慣(p<0.005)となった。ロジスティック回帰分析では、性別と年齢を調節因子とした結果、10m歩行6.5秒以上(OR:3.24、95%CI1.25-8.38、p<0.05)、運動習慣なし(OR:2.12、95%CI1.04-4.34、p<0.05)となった。 【結論】 社会的孤立、活動範囲の狭小化、身体機能低下が負の連鎖となる可能性が考えられた。反対に活動範囲を維持、拡大することが、社会的孤立や身体機能低下を予防する一つの手段になることが示唆された。このような社会的背景を考慮した場合、臨床での介入のみでは限界があり、地域をも巻き込んでの包括的にアプローチしていく必要がある。多職種や地域と連携し、予防の視点を患者、家族へ伝えていくことが今後一層重要になってくると考える。 【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、各対象者には本研究の施行及び目的を説明し、研究参加への同意を得た。なお、本研究は社会医療法人愛仁会高槻病院倫理委員会の承認を得て実施した(承認番号:2016-36)。