著者
正岡 亜紀 上野 茂昭 島田 玲子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成28年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.24, 2016 (Released:2016-08-28)

【目的】パウンドケーキは本来、砂糖、小麦粉、バター、卵を同量用いて作られる。バターは乳製品であり、乳製品アレルギーを持つ人はパウンドケーキを食べることができない。また、アレルギーではない人にとっても、バター中に多量に含まれる飽和脂肪酸は過剰摂取による生活習慣病や動脈硬化の促進が懸念されている。その上、バターはサラダ油と比べると高価である。そこで、安価で乳製品アレルギーを持つ人にも食べられるパウンドケーキの調製を目的とし、バターをサラダ油に置換した場合の物性や食味に及ぼす影響を調べた。 【方法】バターを用いた一般的なパウンドケーキをバター試料、バターを同重量のサラダ油に置換したものをサラダ油試料、バター試料と水分量、油分量、塩分量が同じになるようサラダ油、水、食塩で置換したものをサラダ油+水試料として、バターを溶かして最後に添加する共立て法によって生地の調製を行った。生地の粘度や比容積、焙焼中の生地の温度履歴、焙焼後の試料の比容積、物性、色の測定を行った。また、それぞれの試料の経時変化による影響を3日間、6日間保存することで検討した。 【結果】生地の測定では、比容積は、他の試料に比べてサラダ油+水試料が大きかった。粘度は、他の試料に比べてサラダ油試料が大きかった。サラダ油試料の中心部の温度が焙焼開始から20分後頃まで最も高温で、途中、温度上昇が緩慢になる現象が見られた。焙焼後の試料の比容積はバター試料が他の試料に比べて小さかった。かたさはバター試料、サラダ油試料、サラダ油+水試料の順にかたかった。凝集性は、かたさの値が大きなもの程小さくなった。保存によってすべての試料がかたくなり、凝集性は小さくなった。