著者
武内 佳代
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.143-158, 2014-11-15 (Released:2017-06-01)

田辺聖子の短篇「ジョゼと虎と魚たち」(一九八四)を取り上げ、主人公の女性障害者ジョゼのニーズのあり方について、障害学とジェンダー研究の観点から改めて分析を行った。それにより、結末で死と等価物として映し出されるジョゼの「幸福」にディスアビリティとジェンダーによって拘束された彼女のニーズの閉塞状況を読み解き、それが一九八〇年代の女性障害者の多くに課せられた閉塞状況そのものであることを指摘した。その上で、さらにそのように読み取ることそれ自体に、現代リベラリズムに抗する読者によるケアの倫理/読みの倫理の契機を見出し、文学テクストの表象分析とケアの倫理との接続を試みた。
著者
武内 佳代
出版者
日本近代文学会
雑誌
日本近代文学 (ISSN:05493749)
巻号頁・発行日
vol.91, pp.143-158, 2014

田辺聖子の短篇「ジョゼと虎と魚たち」(一九八四)を取り上げ、主人公の女性障害者ジョゼのニーズのあり方について、障害学とジェンダー研究の観点から改めて分析を行った。それにより、結末で死と等価物として映し出されるジョゼの「幸福」にディスアビリティとジェンダーによって拘束された彼女のニーズの閉塞状況を読み解き、それが一九八〇年代の女性障害者の多くに課せられた閉塞状況そのものであることを指摘した。その上で、さらにそのように読み取ることそれ自体に、現代リベラリズムに抗する読者によるケアの倫理/読みの倫理の契機を見出し、文学テクストの表象分析とケアの倫理との接続を試みた。