- 著者
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大久保 つや子
柴田 学
高橋 宏
山田 恭央
栢 豪洋
本田 武司
青野 一哉
川越 昌宜
長岡 成孝
武田 康男
- 出版者
- 特定非営利活動法人日本歯周病学会
- 雑誌
- 日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.4, pp.1116-1121, 1988-12-28
- 被引用文献数
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3
歯科領域でのカートリッジ方式による局所麻酔において,血液の逆流現象を調べ,注射に際して特別な吸引操作を行わずとも,血液が容易にカートリッジ内に逆流し,残液を汚染することをつきとめた。1. 1.25%ポンタミンブルー液中に,注射針の先端を浸漬した状態でカートリッジ局麻液0.8mlを一定速度で押し出し,加圧を停止し指先をハンドルから浮かせた状態にしたとき,カートリッジ内に逆流してくる色素を定量する逆流模擬試験を行った。市販カートリッジ用注射器7種について比較した結果,7種すべての注射器に逆流が認められた。逆流色素量と頻度からしてFujisawa aspirating syringe>Citoject>Fujisawa type II>JM syringe>Trixylest>BDN carupule syringe>Peri-pressの順であった。また,市販4種のカートリッジについても,逆流現象を比較した。この場合も,1種を除くすべてに高頻度,高濃度の色素逆流を認めた。2. 歯科診療3機関より回収した,使用済カートリッジの残液について,色素結合法による蛋白の定性,定量を行った。324サンプル中85例(26.2%)に蛋白陽性を認めた。3. 使用済カートリッジ残液について,ヒトヘモグロビンを,酵素免疫測定法によって定性定量した。99サンプル中24例(24.2%)に陽性を認めた。以上のことから,局所麻酔用カートリッジでは,注射時に血液が高濃度,高頻度に逆流することが確認されたので,残液を他患者に再使用することは,エイズ,B型肝炎感染防止の立場より,厳禁すべきことが示唆された。