著者
本田 武司
出版者
医学書院
雑誌
臨床検査 (ISSN:04851420)
巻号頁・発行日
vol.34, no.13, pp.1780-1781, 1990-12-15

レクチンは,オリゴ糖と特異的に結合して糖含有物質自体あるいは細胞を凝集させる(糖)蛋白1)で,最初植物の種子に見いだされた.その後,微生物もレクチン(様物質)を産生していることがしだいに明らかになってきた2).表1にこれまでに報告された主要な微生物由来レクチンとそれらに結合する糖の種類をまとめた.レクチンが結合する糖の特異性は,①各種の糖による赤血球凝集反応の阻害,②細胞表面の糖分子を酵素で変化させレクチン結合性への影響を調べる,③レクチンを固定化したカラムを用いた結合物質の解析,などによって決定されている. 微生物由来レクチンは,形態学的に線毛と非線毛に大別できる.非線毛性レクチンの実体にはまだ不明な点が多いが,線毛性レクチンについては,P線毛,S線毛,タイプ1型線毛などでしだいに明らかになっているように,線毛構成成分とは別にその先端にアドヘジンとよばれる真のレクチン蛋白が存在する2).
著者
高木 潤吉 大関 悟 後藤 圭也 大石 正道 小林 家吉 藤村 義秀 本田 武司
出版者
一般社団法人 日本口腔腫瘍学会
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.10, no.3, pp.128-134, 1998

Polymorphous low-grade adenocarcinoma (以下PLGA) は口腔内, 主に口蓋に発生する小唾液腺癌である。本腫瘍は比較的均一な細胞からなるが, 組織像は多彩な浸潤増殖像を呈する。今回著者らは3例のPLGAを経験したので報告する。<BR>症例1ではPLGAは右側舌下面に発生し, 症例2, 3では口蓋に発生していた。症例1では右側顎下リンパ節への転移が認められたため, 舌部分切除術および肩甲舌骨筋上頸部郭清術を行った。症例2, 3では原発巣の切除のみが行われた。症例1は術後7年, 症例2は術後4年経過するが, 再発, 転移は認めていない。症例3は術後8か月で老衰のため死亡した。これらの症例の病理組織学的所見では, 細胞は小型から中型で, 均一な円形の核を有するものの, 充実性, 管腔状, 篩状, 梁状, 小葉状構造などの多彩な増殖像がみられた。分裂像はほとんど認められなかった。<BR>免疫組織学的所見では, 症例1ではcytokeratinとS-100蛋白が一部の細胞に陽性を示し, 症例2, 3ではcytokeratin, S-100蛋白, vimentin, actinが陽性を示した。carcinoembryonic antigenとepitherial membrane antigenは3症例とも陰性であった。
著者
住吉 周平 南部 敏之 本田 武司 下田 恒久 宮島 陽一 堤 定美
出版者
社団法人 日本口腔外科学会
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.42, no.12, pp.1192-1199, 1996-12-20 (Released:2011-07-25)
参考文献数
21
被引用文献数
4 4

Although mouthguards are used to protect the stomatognathic region in contact sports, their biomechanical efficacy has not been proved. The finite element method (FEM) is widely used in biomechanical studies involving static stress analyses. Studies of mouthguards especially require dynamic analyses. We performed an impact analysis of the maxillofacial region with the use of a pseudo 3 -D FEM model consisting of the head and neck in order to verify the efficacy of two mouthguard models against impact on the chin.The effects of impact on the maxillary central incisors and the neck of the condyle increased remarkably when the mouth was open. With the use of a mouthguard, the efficacy of impact absorption extended to the maxillary central incisors and the lateral margin of the aperture. A soft-type mouthguard was more effective than a hard-type one. With the use of a mouthguard, stress was concentrated at the neck of the condyle. The use of a mouthguard decreased stress to regions adjacent to the cerebrospinal area. These results suggest that mouthguards are effective in preventing brain concussion.
著者
上田 泰史 鈴木 則彦 古川 徹也 竹垣 友香子 高橋 直樹 宮城 和文 野田 孝治 廣瀬 英昭 橋本 智 宮本 彦四郎 矢野 周作 宮田 義人 田口 真澄 石橋 正憲 本田 武司
出版者
The Japanese Association for Infectious Diseases
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.110-121, 1999
被引用文献数
8

1994年9月4日の開港から1996年12月まで, 2年4カ月の調査期間における関西空港の検疫人員は11, 44a534名であり, 検疫時に下痢を申告したものは22, 187名であった。そのうち9, 299名について下痢原因菌の検索を行い, 以下の成績を得た.<BR>1) 下痢原因菌が検出されたのは3,096名 (33.3%) であった.これらの症例から検出された病原菌は<I>Plesiomonas shigelloids</I>が最も多く2,066名 (66.7%), 次いで<I>Aeromonas spp.</I>484名 (156%), <I>Vibrio parahaemolyticus</I>358名 (11.6%), <I>Shigella spp.</I>291名 (9.4%), Salmonella spp.183名 (59%), <I>Vibrio choleraenon</I>-O1 121名 (39%) の順で検出された.下痢原因菌検出例のうち, この6種類の病原菌が検出されなかった症例はわずか2.8%であり, 上記の6種類が海外旅行者下痢症の主原因菌であると考えられた.なお, <I>enterotoxigenic Escherichia coli</I>については検査対象としなかった.<BR>2) 2種類以上の下痢原因菌が同時に検出された症例 (混合感染) が502例みられ, 下痢原因菌検出例の16.2%を占めた.<BR>3) 1995年2月~3月に, インドネシア (バリ島) 旅行者に集中してコレラ患者 (13例) が発見されたその他は, 各菌種とも検出頻度に季節的な大きな偏りは認められなかった。<BR>4) <I>Vibrio spp</I>.の推定感染地はアジア地域に限定され, <I>Shigella spp., Salmonella</I> spp.および<I>P.shigelloides</I>の感染地は広範囲にわたっていたが, <I>Shigella spp</I>. ではとくにインドおよびインドネシアに集中していた.<BR>5)<I>Shigella spp</I>.のうちわけは, <I>S.sonnei</I>が最も多く, 次いで<I>S. flexneri, S. boydii, S.dysmteriae</I>の順に検出された.また, インド・ネパール旅行者から<I>S.boydii</I> provisional serovar E16553が検出された.<BR>6) <I>Salmonella</I> spp.の血清型では, <I>S.</I>Enteritidisが最も多く検出され, 49例 (25.7%) を占めていた.<BR>7) 薬剤耐性株の頻度は<I>Shigella</I> spp.89.2%, <I>Salmonella</I> spp.27.2%, <I>V.cholerae</I>O195.0%であった.<BR>8) <I>V.cholerae</I>01はすべてEI Tor Ogawa型コレラ毒素産生株であった.<BR>9) <I>V.parahaemolyticus</I>の血清型は03: K6が最多数を占めた.耐熱性溶血毒遺伝子 (tdh), 易熱性溶血毒遺伝子 (trh) 保有株がそれぞれ89.8%と14.6%に確認された.
著者
大久保 つや子 柴田 学 高橋 宏 山田 恭央 栢 豪洋 本田 武司 青野 一哉 川越 昌宜 長岡 成孝 武田 康男
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.30, no.4, pp.1116-1121, 1988-12-28
被引用文献数
3

歯科領域でのカートリッジ方式による局所麻酔において,血液の逆流現象を調べ,注射に際して特別な吸引操作を行わずとも,血液が容易にカートリッジ内に逆流し,残液を汚染することをつきとめた。1. 1.25%ポンタミンブルー液中に,注射針の先端を浸漬した状態でカートリッジ局麻液0.8mlを一定速度で押し出し,加圧を停止し指先をハンドルから浮かせた状態にしたとき,カートリッジ内に逆流してくる色素を定量する逆流模擬試験を行った。市販カートリッジ用注射器7種について比較した結果,7種すべての注射器に逆流が認められた。逆流色素量と頻度からしてFujisawa aspirating syringe>Citoject>Fujisawa type II>JM syringe>Trixylest>BDN carupule syringe>Peri-pressの順であった。また,市販4種のカートリッジについても,逆流現象を比較した。この場合も,1種を除くすべてに高頻度,高濃度の色素逆流を認めた。2. 歯科診療3機関より回収した,使用済カートリッジの残液について,色素結合法による蛋白の定性,定量を行った。324サンプル中85例(26.2%)に蛋白陽性を認めた。3. 使用済カートリッジ残液について,ヒトヘモグロビンを,酵素免疫測定法によって定性定量した。99サンプル中24例(24.2%)に陽性を認めた。以上のことから,局所麻酔用カートリッジでは,注射時に血液が高濃度,高頻度に逆流することが確認されたので,残液を他患者に再使用することは,エイズ,B型肝炎感染防止の立場より,厳禁すべきことが示唆された。