著者
武田 由比子 河村 葉子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.3, pp.178-183_1, 1998-06-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
19
被引用文献数
4 7

アルミホイルから各種食品擬似溶媒へのアルミニウム溶出について検討したところ, 溶媒により溶出挙動は大きく異なった. 水への溶出は少なく, 水道水では超純水よりわずかに高かった. 4%酢酸及び0.5%クエン酸溶液では, 水道水の25~200倍であった. また,4%酢酸へは0.5%クエン酸溶液の2倍以上の溶出量であった. 酸性溶媒への溶出は温度及び時間に相関して増加した. 一方, アルカリ性溶媒への溶出は, 2時間以内に急激に増加し, その後はほぼ一定の状態となった. 市販アルミ箔製品10種類の溶出調査を行ったところ, 95℃30分で超純水への溶出は0.1-0.2μg/cm2, 0.5%クエン酸溶液では4.4-14.6μg/cm2, 4%酢酸では24.4-37.6μg/cm2であった.
著者
武田 由比子 天野 立爾 内山 充 松本 清司 降矢 強 戸部 満寿夫 本田 喜善 中村 幸男
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.50-57_1, 1980-02-20 (Released:2009-12-11)
参考文献数
5
被引用文献数
2 2

1976年から1978年まで宮崎, 佐賀, 鹿児島において17件の鯉摂取によるとみられる食中毒が発生し患者125名に達した. 中毒症状は嘔吐, 痙れん, 麻痺などで, 疫学調査により共通食品に鯉があげられ, 食べ残りの鯉をイヌに与えたところ, 人の場合と同様に発症した. この有毒鯉からの熱エタノール抽出物をエーテルに転溶しTLCを行った結果Rf値0.5~0.7 (展開溶媒ベンゼン, アセトン, 酢酸, 90+5+5)で硫酸噴霧後加熱により特異な青緑色を呈するスポットに毒性を認めた. この物質をさらに精製しUVλEtOHmax 220, 282nm, MSより分子量575を得たが化学構造などについてはなお検討中である.
著者
武田 由比子 河村 葉子 山田 隆
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.266-271_1, 1998
被引用文献数
7

アルミホイル片を酸性21種類, アルカリ性6種類の食品から調製した溶液へのアルミニウム移行は, 酢類, 梅干し類, アルカリ性食品で多かった. 酸性食品では, 95℃30分でぽん酢, レモン酢及び梅干し漬汁10.02~13.83μg/cm<sup>2</sup>, りんご酢, かぼす酢, ワインビネガー6.85~3.11μg/cm<sup>2</sup>, 果汁及び乳製品0.66~0.92μg/cm<sup>2</sup>であった. 穀物酢は0.20μg/cm<sup>2</sup>と低く, 4%酢酸の約200分の1であった. アルカリ性食品では, 95℃30分でこんにゃく煮汁13.72~16.24, しらたき煮汁88.03~107.4, 中華麺煮汁10.55~10.97μg/cm<sup>2</sup>と高かった. 食塩は溶出を高めるが, 糖, タンパク質, アミノ酸及び脂肪は溶出抑制の傾向があり, 特にタンパク質, アミノ酸類は4%酢酸95℃30分の溶出を10%以下に抑えた.